<ナビスコ杯:大宮1-1札幌>◇1次リーグ◇16日◇NACK

 粘ってドロー。札幌は大宮に引き分けた。0-1の後半43分、今季公式戦初先発の札幌MF砂川誠(34)のパスを受けたFW前田俊介(25)が右足で同点ゴールを決め、敵地で貴重な勝ち点1を拾った。今季、先制されて引き分けに持ち込んだのは公式戦15試合目で初。リーグはまだ1勝と苦しんでいるが、土壇場で追いつく粘り強さを生かして、浮上へのきっかけにする。

 札幌が土俵際で粘った。0-1で迎えた後半43分、MF砂川がゴール前で十分にマークを引きつけると、左のFW前田にパス。DFを背負いながら右足を振り抜くと、ボールはゴール左に流れ込んだ。「砂川さんのパスが良かった。サポーターの声が力になった」。最後は大宮の猛攻をうけたがDF櫛引、奈良の10代センターバック、途中出場のMF芳賀らが中心となって跳ね返し、貴重な勝ち点1を手にした。

 今季開幕から15試合目にして、ようやく粘りが結果につながった。リーグ戦、ナビスコ杯の全11敗のうち、1点差での負けが9回。どうしても届かなかった勝ち点1を奪えた。「最後の最後に引き分けに持ち込めたのは大きなこと」と石崎監督。公式戦9試合ぶりに先発し、フル出場したFW大島は「点を取りにいっても取れない試合が続いていたが、そこでしっかり結果を出したのは成長した部分」と振り返った。

 前田が点を取ったことも大きかった。指揮官は「前田が点を取ったことで、いい攻撃の形が出てくるはず」と言った。石崎監督がJ1で戦うための最大のキーマンと考えてきたのが背番号11だった。ここまで得点は4月21日のリーグ川崎F戦の1点どまり。思うようなプレーができない試合もあったが、それでも使い続けた。「守備の面など課題を指摘する人もいるだろうけど、面白いプレーをする。天才肌。わしはいいところを伸ばしてやりたいから」。信じて起用した思いが、少しだけ開花した。

 まだまだリーグ戦は最下位。ナビスコ杯でのドローを、次につなげてこそ意味がある。前田は「負けなかったのは良かった。でも次の鹿島戦で勝たないと意味がない」と次戦を見据えた。チームは今日17日から敵地での鹿島戦(カシマ)戦に備え、関東ミニ合宿に入る。もう1度、1つ屋根の下で結束を高め、上昇気流をつかむ。【永野高輔】