名将が神戸をアジアNO・1へとけん引する。昨季までG大阪を率いた西野朗氏(57)が神戸の新監督に就任することが19日発表された。都内で三木谷会長と会見し、冒頭に「ご無沙汰しております」とあいさつ。「自由がこんなに苦しいとは思わなかった」と、いち早く現場に復帰したかった気持ちを示した。今日20日に選手、スタッフに就任のあいさつを行い、22日の練習から指揮を執る。

 昨年、浦和からの監督オファーを断った経緯がある。「タイミング的に(G大阪を)退任するか、というところだったし(時間的)猶予もなかった。受け入れる状態ではないと思った」と説明。「ただシーズンが終わってグラウンドにいないと落ち着かない。去年暮れぐらいから復帰の希望は持っていた。正式に強い(就任)要請を受けたのは神戸だけ」と、決断した理由を話した。

 新天地でも、08年にG大阪で成し遂げたアジアNO・1の期待がかかる。「08年にガンバでアジアを取りました。私が就任してからも、かなりシーズンを費やしてなったし並大抵のことではない。『もう1度、アジアの頂点に立ちたい』という気持ちを実現できると思う。日本人の監督では誰よりもそういう経験をさせてもらっている」と自信を見せた。

 攻めの姿勢は変わらない。「ただ守るだけのサッカーは本意じゃない。選手たちのプレースタイルを尊重しながら、また新しいチャレンジをしていきたい」。右腕でもあるフィジカルコーチのブローロ氏の入閣も決まった。初陣となる26日のリーグ鹿島戦(ホームズ)から「西野ヴィッセル」が攻撃的サッカーを見せつける。

 ◆西野朗(にしの・あきら)1955年(昭30)4月7日、埼玉・浦和(現さいたま)市生まれ。浦和西、早大を経て日立(現柏)入り。大学時代から主にMFで日本代表入り。96年アトランタ五輪日本代表監督を務め、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」を実現。98年柏監督に就任。02年G大阪監督に就任。05年Jリーグ、07年ナビスコ杯、08年ACL、08、09年度天皇杯でそれぞれ優勝。