<J1:清水3-1仙台>◇第27節◇29日◇アウスタ

 残り30分から試合は暗転した。仙台がアウェーで清水に逆転負けを喫した。前半14分にMF菅井直樹(28)が先制点を奪うも、後半15分にDF鎌田次郎(27)がこの日2枚目の警告で退場。数的不利となってからの3失点で、手倉森誠監督(44)の清水戦初勝利はならなかった。首位広島との勝ち点差は5に開いたが、6日にホームへG大阪を迎えて始まる10月の戦いで巻き返すしかない。

 鎌田は敗戦の責をすべて負うかのように、立ち止まってしっかりと口を開いた。「自分の退場が一番いらなかった。肘を出されてカッとなってしまった。(感情を)抑えていかないと。チームのみんなに迷惑をかけて、反省したい」。退場となったのは後半15分に清水MF八反田を倒したプレーだが、同11分にもらっていた1枚目が、何よりも悔やまれる。FW金との接触で倒れた後に、相手の足を蹴る報復行為。冷静さを失った代償は大きかった。

 数的不利となって「4-4-1」にシステムチェンジ。赤嶺に代えて松下も投入し、混乱を最小限にとどめようとした。しかし、後半25分に追いつかれると、35分には上本が脳振とうを起こして交代。相次ぐアクシデントで前半は難なくはね返していたクロスへの対応にも苦慮し、39分にCKから2点目を献上した。ロスタイムには守護神林がループシュートをファンブルして3失点目。手倉森監督は「ファウルで引っかけないことは注意していたが…。数的不利になって残された時間が少し長かった。後半、悪い出来事が重なってしまった」とうなだれた。

 優勝争いの鍵を握ると読んでいた9月は2勝2敗、広島との勝ち点差は今季最大の5に開いた。次節、鎌田は出場停止。赤嶺も今季3枚目の警告を受け、残り7戦はギリギリの戦いとなる。試合後、選手があいさつしたスタンドからは拍手と、変わらぬ仙台コールが起きた。「『もうダメだ』じゃなく『このままじゃ、まだまだダメなんだ』と悔しさをぶつけていきたい」。そう誓った監督も、選手も、サポーターも一丸となって戦い続ける。【亀山泰宏】