<J1:磐田0-1清水>◇第28節◇6日◇エコパ

 清水が「花の89年組」の活躍で今季の静岡ダービーを2連勝で飾った。前半20分、MF河井陽介(23)のクロスをMF村松大輔(22)が押し込み、先制。この1点をDF吉田豊(22)を中心に最後まで守り切った。07年以来となるエコパスタジアムでの勝利で順位は4位に浮上。3位以内に与えられるACL出場権も見えてきた。磐田は、今季4度目の完封負けで5位に後退。5年ぶりのダービー連敗となった。

 今季初めて「花の89年組」の5人がピッチにそろった。ひそかに注目されていた5人だが、いざ集まると活躍は派手だった。前半20分、MF村松が中盤でボールを奪い右サイドのFW大前元紀(22)へと展開。大前のクロスをMF八反田康平(22)が頭で左サイドの河井へとつなぐと、最後は折り返しに村松が左足でゴールネットを揺らした。村松は「ダービーでの得点なんでつい、興奮し過ぎちゃいました」。無我夢中でベンチへと走りだしたことで、試合前に5人で打ち合わせていたパフォーマンスはお蔵入り。それでも貴重な先制点に、敵地でも半分がオレンジに染まったエコパスタジアムは歓喜に包まれた。

 8戦ぶりに先発復帰したDF吉田も守備で魅せた。後半34分。相手FW阿部がスルーパスに抜け出し決定的なピンチを迎えたが、スライディングで間一髪クリア。続く同35分にもゴール前で日本代表のエースFW前田と対峙(たいじ)。しかし、持ち前の体の強さを発揮して難なくボールを奪った。今季8度目の完封勝利に、吉田は「自分も何とか守備で貢献できて良かったです」と笑った。

 5人は以前から「89年度会」を結成。会費を集め、月に1度食事会を行ってきた。結成当初から「いつか5人でピッチに立とう」と話してきた1つの目標をダービーという最高の舞台で迎えた。この節目の日に、自分たちで花を添え、吉田は「もう最高です!!」と、全員の思いを豪快に代弁した。

 今季ダービー2連勝で順位は単独の4位に浮上。ACL出場も徐々に見えてきた。村松は「優勝も諦めていないし、1戦1戦勝っていきたい」。吉田も「これで満足せず、また明日から切り替えてやってきます」と、頼もしく言った。日々、成長を遂げる5人がこれからも清水の未来を明るく照らしていく。【前田和哉】