<J1:鳥栖0-1清水>◇第5節◇6日◇ベアスタ

 清水が鳥栖を下し、開幕から公式戦7試合目にして待望の今季初勝利を挙げた。序盤からDF平岡康裕(26)を中心に、鳥栖の最大の武器であるロングボールをシャットアウト。守備から流れをつかむと、後半25分、FWバレー(31)がJ復帰後初ゴールとなる決勝点を決め、アウェーで勝ち点3を引き寄せた。昨年11月のナビスコ杯決勝鹿島戦から12試合続いた不振に、ようやく終止符を打った。

 春の嵐にも、鳥栖のロングボールにも、清水の守備陣は動じなかった。開幕から公式戦7戦目にして、ようやく耳に届いた歓喜のホイッスル。イレブンは満面の笑みで抱き合い、サポーターも5カ月ぶりの「勝ちロコ」に酔いしれた。試合後、アフシン・ゴトビ監督(49)は「ロングボールへの対応から、きっちりセカンドボールも拾えていた。守備から試合をコントロールできた」と冷静に振り返った。

 狙いがはまった。序盤から相手は、前節磐田戦でハットトリックを決めた185センチのFW豊田に狙いを定めたロングボールを多用。少ないパスで清水ゴールを狙った。対して清水は、平岡が常に激しく体をぶつけて相手の自由にさせなかった。平岡は「たとえ競り負けたとしても、とにかく自由にやらせないことが肝心だった」と振り返った。

 チームは広島戦の大敗から1週間、ボールを取りに行く位置を明確化。ばらばらだった守備が、この日は一変して全員が連動した。DF村松大輔(23)は「全員が良い距離感を保てたことで、セカンドボールにも対応できた」。平岡が競り合ったこぼれ球も徹底的に拾い、2次攻撃も封じた。

 鳥栖の生命線となるロングボールからの好機を完全に寸断すると、後半25分。バレーが、ゴール前の反転から豪快に右足を振り抜き、決勝点をたたき込んだ。バレーにとって、何よりも欲しかったJ復帰後初得点。それでも、自らの喜びは控えめに「得点よりも、全員でつかんだ勝ち点3がうれしい」と、守備に奮闘した仲間を称賛した。

 念願の1勝にようやく手が届いた。ただ、10日のナビスコ杯川崎F戦に続き、次節は同杯で1-5と完敗した宿敵・磐田をホームに迎える。平岡は「まだ気持ちが晴れたわけじゃない。しっかり借りを返さないと」と、気を引き締めた。真価が問われる戦いは続く。【前田和哉】