<J2:札幌1-3熊本>◇第11節◇28日◇札幌厚別

 J2札幌が、厚別の強風に翻弄(ほんろう)された。札幌厚別での今季初戦となった熊本戦で逆転負けした。前半13分にFW前田俊介(26)のゴールで先制したが、風下に立った後半、オウンゴール2発を含む3失点でひっくり返された。過去好成績を残していた厚別開幕戦で、04年以来の黒星。逆転で4試合ぶりの敗戦を喫し、上位との差を詰められなかった。5月3日の京都戦(札幌ドーム)で巻き返しを狙う。

 自陣のゴールラインを割ったボールを、DF奈良が追いかける途中で、終了のホイッスルが鳴った。ゴール正面にいたDF櫛引が、力尽きたようにしゃがみこんだ。「こんな状況の中でも落ち着いてできれば良かったんですけど…」。自然条件に対応できなかった反省が口をついた。

 ゲンのいい厚別初戦だったが、最大風速13メートルの風に苦しんだ。風上を選んだ前半は攻め込んだ。13分。中央でボールを受けたFW前田が、左の岡本に1度預ける。岡本がドリブルでゴールライン直前までえぐり、中央に折り返したボールを、前田が左足でゴールに突き刺した。熊本のシュート5本に対して札幌は9本と、優位に進めた。

 ピッチの変わった後半、風向きとともに流れも一変した。5分。熊本のMF仲間に詰められ同点とされた。その7分後。GK杉山の手元近くで相手FKの軌道が変化。あわててパンチングにいったボールがDF奈良に当たり、オウンゴール。杉山は「ミスは起こりうると分かっていました。対処できなかった責任を感じます」とうなだれた。

 後半43分には、左からの相手クロスをDF松本が押し込む形で再びオウンゴール。札幌のJリーグホーム通算400失点という、不名誉な節目の失点にもなった。

 後半のシュート数は熊本9本に対し、札幌は3本。完全に守勢に回り、熊本にとっては今季最多となる3得点を献上した。DFパウロンの負傷で4試合ぶりに先発したDF奈良は「(パウロンとの)違いを見せたかったが、結果的には何もできなかった」と、悔いる結果になった。

 相性の良かった厚別開幕戦でつまづいた。財前恵一監督(44)は「悪天候の中、たくさんのサポーターに来ていただいたのに申し訳ない」と、頭を下げた。勝ち点を伸ばせず順位も15位のまま。杉山は「課題を修正して、京都戦に向かっていきます」と、次に目を向けた。GW連戦は次節もホームでの戦い。気持ちを切り替えて、京都戦に臨む。【中島洋尚】