清水は8日、三保グラウンドで明日10日に行われるアウェー川崎F戦に向けて完全非公開で約2時間の調整を行った。現在、27節甲府戦からリーグ4戦連続得点中のFW大前元紀(23)が、かつて清水のエースとして君臨したFW岡崎慎司(ドイツ1部・マインツ=27)を超える、5戦連続得点に意欲を見せた。

 偉大な先輩を超える5試合連続ゴールが懸かった試合を目前にしても、大前の心境に変化はなかった。非公開練習後に「特別な意識はない。いつも通り、チームの勝利のために点を取るだけ。記録は後からついてくればいい」と淡々と話した。

 普段の試合前と変わらない言葉。だが、その一言が今は頼もしい。ドイツ・デュッセルドルフから復帰後4試合目で初得点を記録すると、その後はゴールを量産。夏の加入から10試合で7得点を挙げ、ここ8戦で6勝2敗と快進撃を続けるチームを支えている。

 「点を取るために帰ってきた」(大前)。復帰への強い思いが形となり、現在は第27節甲府戦から4試合連続得点をマーク中。清水のエースから日本代表のエースへと成長を遂げたFW岡崎が、09年に記録した4戦連続ゴール超えまであと1点だ。08年の入団から3年間プレーを共にした大前は「岡ちゃんは毎試合点を取る雰囲気があったし、ゴールに向かう姿勢もすごかった。自分はまだその位置までいけていない」と話す。

 対戦する川崎Fには、10年の勝利を最後に6戦勝ち無し。今回会場となる等々力に限っては、05年以来勝利がない。大前は「あんまり良いイメージはない」と正直な気持ちを明かしながらも、最後は「今までとはメンバーも違うし、今は攻撃陣の調子も良い。結果的に、岡ちゃんの記録を超えられれば個人的にももっと自信がつく。勝利のために狙っていきます」と、力強い言葉で締めくくった。鬼門を打ち破る一撃で、真のエースへと名乗りを上げる。【前田和哉】