来季からJ2に降格する磐田が元メキシコ代表監督のヘスス・ラミレス氏(56)との間で続けていた新監督交渉を断念することが13日、決定的になった。関係者によると、クラブは再び後任監督選びに着手し、元大分監督のブラジル人、シャムスカ氏(48)に絞って交渉している。

 ラミレス氏は当初、日本での監督就任に意欲を示していた。しかし、現地で女優活動をしている妻ら家族が来日に消極的で、ラミレス氏も家族を残しての赴任に難色を示し始めたという。主力選手の流出を防ぐためにも、早期の新体制決定を目指しているクラブは、打開策を見いだせなくなったラミレス氏の招聘(しょうへい)を断念せざるをえない状況になった。

 これまで関塚隆監督の後任として、磐田でプレーしていた元ブラジル代表監督のドゥンガ氏、今季東京を指揮したポポビッチ氏、今回のラミレス氏と、立て続けに交渉を続けてきた。今回も不調に終わり、1年でのJ1復帰を目標に掲げるクラブは、新体制発足のメドをたてることができず、いきなりスタート前から迷走状態に陥ってしまった。

 この状況を目の当たりにするクラブスタッフからは、黄金期を築いた名波浩氏の監督待望論が再びわき起こった。他クラブからオファーを受けている複数の主力選手も、名波新監督が実現すればチームに残留する意思を持っている。ただシャムスカ氏が監督に就任するとなれば、スタッフを連れて指揮するケースが多く、クラブが目指す「名波ヘッドコーチ」の実現は極めて難しくなりそうだ。