仙台DF鈴木規郎(29)が、黄金の左足で流れを変える。鹿児島キャンプ3日目の28日、ミニゲームで強烈なシュートを放つなど破壊力は健在。かつて「和製ロベカル」と呼ばれた男が、30歳を迎えるシーズンに完全復活を誓う。

 ワールドクラスのゴールを生み出してきた左足がベールを脱ぎ始めた。ピッチの半分以下のスペースで行われた10対10のミニゲームで、鈴木が遠めから積極的にシュートを狙う。惜しくも枠を外れたが、圧倒的なスピードでゴールを脅かした。この日の練習でアーノルド監督(50)が掲げたテーマは「打開策を見いだせ」。期待の新戦力は、一瞬でスタジアムの雰囲気を変えられる武器をアピールした。

 とにかく「左」にこだわってきた。サッカー以外は右利きだが、ボールを操るのは左足が8割以上。ポジションが決められていない実戦形式の練習でも、左サイドは誰にも譲らない。これまで指導者から「両足で蹴れるようにしろ」と言われても信念は曲げなかった。「右足を練習する時間があったら、左足に使いたかった」。少年時代から積み重ねたキック練習の成果が、丸太のような足から放たれる弾丸シュートに表れている。

 各世代別の代表に選ばれるなど実績を残してきた鈴木も、大宮では4シーズンでリーグ戦出場31試合と出番に恵まれなかった。2月に30歳を迎えるが「いくつかオファーをもらったけど、迷わず仙台を選んだ」と新天地での復活にかけている。赤嶺は東京時代の同僚で、角田は03年ワールドユースのメンバー。ともに同学年ということもあり、すでにチームに溶け込んでいる。「1年1年が勝負。いい時のパフォーマンスを見せて、もうひと花咲かせたい」。左のスペシャリストは、このままで終わるつもりはない。【鹿野雄太】

 ◆鈴木規郎(すずき・のりお)1984年(昭59)2月14日、千葉市生まれ。幼稚園からサッカーを始め、小学校では市原(現千葉)の下部組織に所属。市原ジュニアユース、八千代高を経て02年に東京入り。各世代別の代表を経験し、08年に神戸へ移籍。09年途中からフランス2部アンジェでプレーした後、10年7月に大宮へ加入。今季から仙台に完全移籍。J1通算161試合17得点。趣味は海外旅行。177センチ、77キロ。血液型O。