<J2:岐阜3-1讃岐>◇第1節◇2日◇長良川

 J2岐阜のラモス瑠偉新監督(57)が、ホームでの開幕戦で讃岐を下し、就任初白星を収めた。東京Vの監督以来、7季ぶりにJリーグの舞台に復帰。勝利にもかかわらず腹を立て「喜んでいていいのか、あいつらを殴ったほうがいいのか、分からない」と“ラモス節”をさく裂させた。

 喜びの声が聞かれるはずの会見で、ラモス監督が選手たちに怒りをぶちまけた。勝ったのは岐阜のはず…だったが、敗戦チームの監督のように、ラモス節で約16分間まくし立てた。

 「なんで3-0から自分たちのサッカーをやらなかったのか。オレは許さん。せっかくこれだけマスコミやサポーターが来てくれているのに、いつやるの?

 負けた時か?

 アホ過ぎる!」

 前半32分にCKからFW難波が先制点を奪い、後半6分にはFWナザリトがFKを直接決めた。同17分にはカウンターからMF高地が3点目を奪うと、ベンチ前でガッツポーズも見せた。だが終盤にいら立ちを見せる場面が増えた。試合が終わると、選手たちを出迎えることもなく、1人そそくさとロッカー室に戻った。

 岐阜の先発平均年齢は、讃岐より約4歳高い30・64歳。38歳の元日本代表GK川口、36歳のDF三都主が加わり、チームは一新。ベテランが多くいる中、終盤に受け身になったことに納得できなかった。

 ホーム開幕戦としては過去最多、クラブ史上3番目に多い1万1069人が来場したが、監督はただ1人怒り心頭。すべては「岐阜を変える」という熱い思いからだ。経営難でクラブ消滅の危機にも直面した。だからこそ、サポーターを引きつける積極的な内容を求めた。怒りの中でも持ち前のトークで笑いを誘った。

 先制点を挙げた難波とは、得点すればポケットマネーでボーナスを出すことを約束していたと言い「最初、なんでこっちに走ってきたのかと思ったけど、5000円のこと思い出したよ。財布が泣いている。勝ったら借金だらけだね」。ナザリトについても「多分半年で(他クラブに)取られちゃうんじゃないかなと思う」。地元局でキャスターを務める浅田真央の姉でスポーツキャスターの浅田舞が質問すると「美人に弱いから何でも聞いて下さい」と返すなど、初戦からトークは全開。今年はラモス岐阜から目が離せない1年になりそうだ。【福岡吉央】

 ◆ラモス瑠偉(るい)1957年2月9日、ブラジル・リオデジャネイロ生まれ。77年に来日。読売クラブ、V川崎(現東京V)、京都でプレー。89年に日本国籍を取得し、日本代表として活躍した。98年に引退。ビーチサッカー日本代表監督などを経て06年から東京V監督に就任し、07年にJ1昇格を果たして退任。その後、再びビーチサッカー代表監督を務めた。