<天皇杯:清水2-1札幌>◇3回戦◇20日◇アイスタ

 J2札幌は清水に敗れ、2年連続の4回戦進出を逃した。前半27分にFW都倉賢(28)のゴールで先制も、同41分、後半45分に失点し、力尽きた。IAIスタジアム日本平での清水戦は9連敗。公式戦(リーグ、天皇杯)の連敗も「5」となったが、17日山形戦から先発7人を入れ替えたメンバーでJ1相手に健闘した。25日栃木戦へ、収穫のある90分となった。

 最後の最後にJ1との差が出た。1-1の後半45分、カウンターから清水FWノバコビッチにゴール前まで運ばれると、DF櫛引が体を寄せるも、シュートを防げず、ゴール左隅に流し込まれた。「人数は足りていたのに」と悔やむ櫛引は「1対1の場面で甘さが出たということ。しっかり改善しないと」と反省しきり。89分まで互角に戦ったが、残り1分の集中力が勝敗を分けた。

 先手を取ったところまでは順調だった。前半27分、MF菊岡の右CKを、ニアサイドに飛び込んだDF奈良がすらしてコースを変え、ファーに流れたボールをFW都倉がヘッドで押し込んだ。先制点が白星につながらなかった都倉は「点を取るまでは良かったが、焦りからミスをする選手もいて、流れを渡してしまった。J1は1人1人のクオリティが高い。この差を真摯(しんし)に受け止めて、結果を求めていかないと」。決定機を確実に決めるJ1と対峙(たいじ)し、自分たちの立ち位置が明確になった。

 財前監督は「負けてしまったが90分、しっかり守備をするという部分はリーグに生きる」と収穫を口にした。17日山形戦から中2日。先発を7人入れ替え、控え組にチャンスを与えた。前線には、5月31日福岡戦を最後に先発から外れていたFW前田と、京都、山形戦と途中出場も無得点だったFW都倉の同期コンビを起用。前線で攻撃の軸となり、機能した。守備陣も、ほぼ主力をそろえた清水相手に、ぎりぎりまで体を張り、戦い抜いた。

 中2日で2戦連続フル出場となったMF荒野は、パワープレーとなった終盤には、右サイドバックも任された。「いろんな経験ができたのは良かった。J1とやって、もう少し受けたときの反応を速くする必要があると感じた」。新たな収穫を、4連敗中のリーグ戦に、どう生かすのか。速さ、強さ、正確さ-。厳しいプレッシャーの中で、できたこと、できなかったことを精査し、J1昇格への糧とする。【永野高輔】