富山から復帰したJ2札幌DF前貴之(21)が30日、定位置奪取とリオデジャネイロ五輪切符を目標に掲げた。今オフ、新潟からオファーを受けるも、札幌でのJ1昇格を決意し残留。沖縄キャンプで精力的に汗を流し「育ててもらった札幌で結果を出すことが最優先。ここでJ1を狙いたい」と意気込んだ。

 札幌で味わった悔しさは、札幌で晴らす。昨季はサイドバックの開幕先発候補だったが、開幕2日前の2月28日に右足首捻挫で離脱し断念した。悔しい思いがあるだけに「今年はシーズン通して、フルでケガなく戦うことをやっていきたい」と気を引き締めた。

 バルバリッチ監督の指導は初だが、求められるコンセプトは頭に入っている。「切り替えの速さとプレッシャーのかけ方。ここをしっかりとやれるようにしたい」。8月から4カ月在籍した富山ではボランチ、左右ウイングバック、専門外の3バックにも入った。「どこでもやれるところをアピールしたい」と複数ポジションでの可能性を追う。

 昨年末、同期のDF奈良竜樹(21)は東京に期限付き移籍し、J1を勝負の場に選んだが「自分はまずは札幌で試合に出ないと。ここで結果を出せばリオ五輪も近づく」と言った。昨年6月のU-21日本代表候補合宿では、練習試合中の接触で脳振とうになり、アピール不足だった。同期の移籍も刺激に、まずは赤黒の一員としてフル稼働し、J1も五輪もつかみにいく。【永野高輔】