女子W杯の開催が間近となっているカナダで、ちょっと残念な出来事があった。英メトロ紙(電子版)が報じた。

 地域の高校生リーグで、イスラム教系の私立男子校「ISNA」が、別のキリスト教系の高校のチームと対戦した際のこと。ISNAがハーフタイムに、試合を取りやめる考えがあると言い出した。

 ISNAは、その理由について、相手のメンバーの中に女子が含まれているからだと説明。「何人かの生徒が、女子とサッカーをすることに違和感を覚えている」と話した。

 キリスト教系の高校の方は、ハーフタイムの時点で3-1で勝っていたが、大会の次のラウンドに進むためにはさらなる得点が必要だった。そのため、カーラ・ブリスコーさんら女子選手たちはハーフタイムに、泣く泣く試合に参加することをやめたという。

 ブリスコーさんらは、高校に女子のサッカーチームがないため、特例で男子チームのメンバーになっていた。

 大会のルールでは女子選手もプレーできることになっているのだが、ISNA側はルールを知らなかったと主張している。

 ブリスコーさんは試合後、「彼らの文化は理解している。でも同じような出来事で、他の女子たちがプレーできないようにはなってほしくない」と話した。

 ブリスコーさんのチームは6-1で圧勝したのだが、得失点差の関係で次のラウンドには進むことができなかった。心を傷つけてまで「勇気ある撤退」をしたものの、希望通りにことは運ばなかった。

 一方、ISNAのコーチは「男女を一緒にすることは、我々が通常やらないこと。それは、何よりも彼女たちに敬意を表しているからだ」と説明した。

 宗教的な考え方をとるか、性別の差をなくすのか。難しい問題だが、ブリスコーさんのように傷つく生徒をなくすためには新しいルールが必要。現地の教育委員会で近々話し合いが開始されるという。【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)