2年前にガンビアから難民としてドイツに渡ってきた男が、ついに夢をかなえた。

 15日のブンデスリーガ・ブレーメン-レーバークーゼン戦。1-1の後半14分にブレーメンFWオウスマン・マネ(19)が決勝点となる初ゴールを決めた。

 ゴール前のこぼれ球に反応。スライディングしながら豪快に右足で蹴り込んだ。

 英BBC放送(電子版)によると「信じられない。これは現実なのか。それとも夢を見ているのか。これこそ僕の人生で最高の瞬間だよ」と興奮しながら話したという。

 マネがサッカーを始めたのは04年。ガンビアの大西洋に面した都市バカウにある米国系のサッカーアカデミーでボールを蹴り始めた。

 だが同国ジャメ大統領による独裁政治に絶望し、亡命を求めて渡欧。ブレーメンにある難民の家にたどりついた。

 地元クラブのユースチームでプレーすると、ブレーメンの他にもシャルケやウォルフスブルク、ハンブルガーSVなどが獲得に名乗りを上げたという。

 すでにブレーメンで友人などをつくりはじめていたマネは、15年3月にブレーメンと契約。初ゴールを挙げたレーバークーゼン戦は、今年トップチームでデビューしてからわずか4試合目だった。

 ブンデスリーガで得点した初のガンビア出身選手にもなったマネは、今でも毎日、母国に残した家族と電話で話をするという。

 マネはリーグ公式ホームページの取材に「毎日、母と電話をしている。彼女は僕のことを誇らしげに思ってくれているけど、でもあまりサッカーのことは分かってないんだ」とおどけている。

 母国を離れるという自らの決断で夢を実現させたマネ。レーバークーゼン戦では、昔からあこがれていたメキシコ代表FWエルナンデスとの対戦に心を躍らせたという。

 今度はドイツで家族と一緒に暮らすという夢も実現すれば良いなと、勝手に思っている。

 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)