0.9から1.4へ-この数字の変化は何なのか、お分かりだろうか?

 大衆紙『ビルト』によると、今シーズンのブンデスリーガ第8節以降、各節ごとの直接FKによるゴール数が約1.5倍も増加しているという。それまでは1節当たりに1点あるかないか(0.9)であったが、現在は平均で1.4点も生まれているのだ。

 同紙はその理由として、第8節からドイツのサッカーシーンでも使用されるようになったバニシング・スプレーを挙げている。

 バニシング・スプレーとは、得点に結びつく可能性が高いFKの際に、主審がボールと壁の位置をマークするために開発されたもの。昨夏開催されたブラジルW杯で高い評価を得たため、ブンデスリーガも導入に踏み切っている。

 そこで『ビルト』は、20~22日に行われた第26節の全9試合を映像で調査。すると、スプレーによってマークされた壁のうち83%が、ボールから離れなければならない最低距離の9.15メートル以上だったそうで、最長はマルクス・シュミット主審が笛を吹いたパーダーボルン対ホッフェンハイム戦の10.72メートル。本来の地点から1.5メートル以上も離れた箇所に壁の位置を設定している。

ちなみに、9人のレフェリーのうち、1度のミスもなく完璧なポジションにスプレーを噴射したのは、ケルン対ブレーメンを担当したロベルト・ハートマンただ1人だった。

 上述の“10.72メートル”でアドバンテージをもらったパーダーボルンのMFアルバン・メハは「身長が大きい審判だと歩幅も大きくなる。そのぶん距離が長くなるんじゃないかな?」と話しているが、シュミット主審が188センチであるのに対し、正確を期するハートマン主審は186センチと、その差はたった2センチ。つまり身長はほとんど関係なく、あくまで“レフェリーの能力”と考えたほうがいいだろう。

 「審判も1人の人間であり、機械ではない」とは、ドイツサッカー連盟審判委員長ヘルベルト・ファンデル氏の言葉だが、改善は十分可能なだけに、誤差を小さくするための努力をもう少ししてみてはいかがだろうか。