<クラブW杯:マンチェスターU(イングランド)5-3G大阪>◇18日◇横浜◇準決勝

 マンUに3発や!

 G大阪が欧州王者相手に歴史的3ゴールをたたき込んだ。0-2の後半29分、FW山崎雅人(27)が追撃弾。現行の大会方式になって準決勝では初めて、欧州王者から得点を挙げたチームとなった。さらに同40分にはMF遠藤保仁(28)がPKを決め、同ロスタイムにはMF橋本英郎(29)が右足で決めた。大金星はならなかったが、最後まで攻撃スタイルを貫き、世界のサッカー史に確かな痕跡を残した。21日にパチューカ(メキシコ)との3位決定戦に臨む。

 緩みかけていた場内の空気は、一気にヒートアップした。後半29分。高速カウンターで、山崎が橋本の折り返しに走り込む。右足を振り抜き、ファンデルサールの指先をかすめるようにゴール右隅へ決めた。

 山崎

 いいタイミングでボールを出してくれた。落ち着いて決めることができた。

 現行のトーナメント方式になった05年以降、準決勝で欧州王者に初失点を食らわせた。マンUの目の色を変えさせたのが山崎なら、歯ぎしりさせたのが遠藤だった。後半40分にPKを得る。GKはオランダ代表で100戦以上に出場している百戦錬磨のファンデルサール。遠藤はジッと相手を見つめながらスタートを切り、得意の“コロコロ”ではなく中速PKでゴール左に決めた。

 遠藤

 (相手GKが)デカくて反応も速いから、ゆっくり蹴ったら止められる。だから、いつもより少し速いボールを蹴った。(GKが)ギリギリまで動かないことは分かっていたからね。

 初戦アデレード戦に続く2戦連発。後半18分に左スミを狙ったFKでは、ファンデルサールに冷や汗をかかせた。「負けはしたけど、90分間楽しくできた。この貴重な経験をこれから生かすには、自分たち次第だと思う。来年もまた、この舞台に戻ってきたい。またマンUとやりたい」と振り返った。

 ロスタイムには橋本が3点目。どれだけ失点しても、攻撃的なスタイルを最後まで崩さなかった。マンUの3失点は今季3度目。C・ロナウドが「相手はファンタスティック」と言えば、ファーガソン監督は「日本の成長を感じた」と言った。

 西野監督

 やはり勝敗にこだわっていたので残念。リスクを負いながら攻めを貫いた。3点取れたことで、G大阪のスタイルは出せた。そこはいい財産になったと思う。

 マンUを5本も上回る23本のシュートを放った。相手が中盤でのプレスを控えていた側面はあるが、ボール支配率も51%と上回った。パスを回してゴールを量産するG大阪の理想型を世界に示し、サッカー史に確かな1ページを刻んだ。