イングランド・プレミアリーグのリバプールは18日、日本代表MF遠藤航(30)がシュツットガルト(ドイツ)から加入すると正式に発表した。背番号3。湘南ベルマーレ、シュツットガルトでも付けたなじみある番号となった。

遠藤は公式サイトで「とても幸せだし。リバプールのようなビッグクラブに加入することができて興奮しているし、僕の夢が叶った」と喜びを語り、満面の笑みを浮かべた写真が掲載された。現地報道によると4年契約で、移籍金は1900万ユーロ(約29億5000万円)。

遠藤は2018年にJ1浦和レッズからシントトロイデン(ベルギー)に移籍し、19年からシュツットガルトでプレー。21年から主将を務め、守備的MFとして活躍した。日本代表では昨年のFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会を含め通算50試合に出場し、6月に森保一監督から新主将に任命された。

シュツットガルトのヘーネス監督は17日に遠藤のプレミアリーグ移籍について「30歳になった彼に、プレミアリーグのリバプールに加入するチャンスが与えられました。彼の夢だった」と話していたが、日本代表の主将はその「夢」を30歳で実現した。

リバプールは昨季、マンチェスター・シティーと並ぶ優勝候補と言われながら5位に終わり、今季の欧州チャンピオンズリーグ(CL)の出場権を逃した。低迷の要因はMF陣の層の薄さだった。そこで今夏、ブライトンからアルゼンチン代表MFマクアリスター、ライプチヒからはハンガリー代表ソボスライを獲得した。

サウジアラビアへ活躍の場を移した主将のヘンダーソンやベテランのミルナー、ケイタらがクラブを去ったが、圧倒的攻撃力を誇る2人の加入でリバプールの中盤は一気にリーグ屈指のものになったと思われた。しかし、クロップ監督の構想にも誤算があった。ブラジル代表の守備的MFファビーニョがサウジアラビア1部アルイテハドに移籍したのだ。

ファビーニョの代わりになると期待し、ブライトンとクラブ間で獲得に合意していたエクアドル代表MFカイセドは寸前でチェルシーに“強奪”された。もう1人のターゲット、ベルギー代表MFラビア(サウサンプトン)もチェルシー入りが決定。リバプールにとってアンカーの位置に文字どおり穴ができ、補強が急務になっていた。

リバプールはチェルシーとの開幕戦を1-1で引き分け。マクアリスターがアンカーを務めたが守備の強度はいまひとつ。特長である攻撃センスも発揮できなかった。対人に強く、ボール奪取能力にたけた遠藤がリバプールに加わればファビーニョの穴を埋められる。それだけでなくマクアリスター、ソボスライを攻撃重視で起用できる。

遠藤がプレミアリーグでリーグ戦デビューを果たせば、日本選手12人目。30歳でのプレミアデビューとなれば、FW岡崎慎司(レスター)の29歳を抜いて日本選手最年長記録となる。

◆リバプールFC 1892年創設。リーグ優勝19回、FA杯8回、イングランド・リーグ杯9回、欧州チャンピオンズリーグ(CL)6回など多くのタイトルを獲得した世界的名門。昨季はリーグ戦で19勝10分け9敗の5位。今季は欧州リーグに出場する。本拠地はイングランド北西部にあるアンフィールド(6万1000人収容)。サポーターは熱狂的で「You’ll never walk alone」は世界で最も有名なサポーターソングとして知られる。チームカラーは赤。