<スコットランドリーグ:レンジャーズ1-0セルティック>◇29日◇グラスゴー

 【グラスゴー(英国)29日=アンソニー・マッカスカー通信員】セルティックMF中村俊輔(29)のスコットランドリーグ3連覇が、非常に厳しくなった。アウェーで行われた首位レンジャーズ戦に、0―1で敗れた。ダービー戦4連敗だけでなく、1試合リーグ戦消化が少ないライバルに、勝ち点6差をつけられてしまった。実質9差で、自力優勝の可能性も消滅。中村本人も、厳しいマークと周囲のサポートのなさに苦しんだ。

 むなしい抵抗を、中村はぼうぜんと見守ることしかできなかった。後半ロスタイム。自陣で得たFKの場面で、GKボルツが前線に上がった。起死回生をはかり、守護神を狙ったロングボールは、いとも簡単に相手DFにはね返された。その後方で待つ黒髪の司令塔の左足に、土壇場で試合をひっくり返すチャンスは与えられなかった。

 今回のダービー戦も、苦い思い出になった。好調レンジャーズの素早いチェックに、味方は苦し紛れのロングパスを連発。「FWに当てるしかなかった。こぼれ球を拾うしかない」と振り返る中村に、ボールが集まる時間帯は、最後まで来なかった。

 「前半は内容は悪くなかった」と中村。数少ないチャンスでも、相手守備陣の左足パスを許さない巧みなマークで、なかなか自由は得られなかった。厳しいマークを敷く相手に足の甲を踏まれる場面も。試合後には「痛いけど、我慢してプレーした。明日腫れるんじゃないかな」と話した。

 05年8月の初対戦では、現在もセルティックでの先発時最短記録として残る、後半9分での交代を命じられた。以来リーグでのダービー通算10試合でフル出場はわずか3試合。直接得点に絡んだのはアシスト1度のみで、チームもダービー連敗記録を4に伸ばしてしまった。

 レンジャーズとの勝ち点差はこれで6。セルティックの方が1試合多く消化しているため、実質9差となった。仮に直接対決残り2戦を連勝しても、レンジャーズが他の試合を全勝すれば、勝ち点で追いつくことはできなくなった。

 中村は「残り2回のホームでの対戦で、絶対勝つしかない」とあきらめないが、現在13連勝中のライバルが、下位相手に星を落とすことは考えにくい。残りは8戦。中村がスコットランド移籍以来、初めて優勝を逃す窮地に陥った。