<オランダ杯:VVV3-0デンハーグ>◇23日(日本時間24日)◇フェンロ

 【フェンロ(オランダ)=エリーヌ・スウェーブルス通信員】VVVのMF本田圭佑(23)が岡田ジャパンのレギュラー取りへ、強烈なアピール弾を決めた。オランダ杯2回戦デンハーグ(同国1部リーグ)戦に先発フル出場。前半24分に左足で先制点を奪い、後半30分には自陣で相手ボールをカットすると、そのままドリブルで約45メートルも突き進み、豪快に2点目のゴールを挙げた。今季公式戦8試合7ゴールという日本人離れした決定力を見せ、「代表でのポジションも今からだと思う」と高らかにレギュラー奪取を誓った。

 本田が突進した。後半30分、雨にぬれたピッチに相手選手が足を滑らせたところを見逃さず、自陣でボールをカット。そこから一直線に相手ゴールに向かった。大きく前へ突くドリブルで6タッチ、約7秒。最後は左右に体を振り、軽やかにフェイントを入れて追走する2選手にタックルするスキを与えず、ペナルティーエリアに入ったところで左足を振った。弾丸のようなシュートが対角のゴールネットに突き刺さった。

 「(最近3試合)ゴールを取れていなくて、プレッシャーを感じていた。アヤックス戦(20日、0-4で敗戦)の悔しさが少なからずあったんでね。それを晴らすことができてよかったなあと思います」。

 ボールを奪ってからシュートまで、距離にして約45メートル。圧巻の一撃だ。自陣からのドリブルゴールといえば、86年W杯でアルゼンチンのマラドーナが決めた「60メートル5人抜きゴール」が有名。くしくもRマドリードのC・ロナウドが23日のビジャレアル戦で自陣から突破して得点したが、過去、日本人選手が欧州で同様のゴールを決めた例はない。裏を返せば、自己主張の強い海外のスター選手にしか許されないプレーで、単独突破をよしとしない日本人には、想定外の「スーパーゴール」だった。

 本田

 点が取れたことはよかったけど、もっと自分のプレーの質を上げていけると思うし、こんなもんじゃないというのは、僕自身が思っている。

 この日の2ゴールで、今季公式戦8試合で7得点。あらためて持ち前の得点力を実証している。非公式ながら、10月の日本代表戦(8日香港、10日スコットランド、14日トーゴ)への招集も決定的だ。クラブのハイベルデン会長は「代表に行くとしたら、彼のいいところが出るように使ってほしい」と願う。そんな思いを背に、本田は言う。

 本田

 代表招集まで2試合ある。自分の自信のためにも、こちらでいい結果を出して行きたい。クラブでの結果ありきと思っている。代表でのポジションも今からだと思っています。

 9月のオランダ、ガーナ戦を終えて「自分のサッカーだけに集中している」との批判も受けたが、そんな雑音も本田にはどこ吹く風だ。「全然、気にしていない。すごくリラックスしている。言い方は変かもしれませんが、ゴール以外に興味がないというか、勝つこと以外に興味がないというか」。ゴールだけ見据え、MFながらラストパスの選択肢などなかった。日本人離れした「規格外の男」、本田の思いがよく表れたスーパーゴールだった。

 [2009年9月25日9時3分

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