<ドイツ杯:Bミュンヘン6-0インゴルシュタット>◇2回戦◇26日◇ミュンヘン

 ブンデスリーガBミュンヘンのMF宇佐美貴史(19)が「ドイツ初ゴール」を決めた。ドイツ杯2回戦のインゴルシュタット戦で後半28分から出場。5-0の試合終了間際にゴール前へ抜け出し、ドイツ移籍後初得点を右足で流し込んだ。世界的強豪の中で出番が少ない状況だが、コツコツと課題を克服。待望の初ゴールとなった。

 楽勝ムードなど関係なかった。宇佐美がドイツでの「軌跡」を残した。後半28分、右の攻撃的MFとして投入された。スコアはすでに4-0、点差は関係ない。残り17分間にすべてをぶつけた。同37分には右サイドから中央へ切れ込んで5点目の起点に。同45分にはFWオリッチとのワンツーで抜け出し、冷静に右足でゴールへ流し込んだ。

 宇佐美

 点取れればいいな、と思ってたけど、まさか(本当に)取れるとは。持ってるな、と思いましたね。ちゃんと数字がついた。そこを残せたのは本当良かった。スタッフもみんなメッチャ喜んでくれた。

 声を弾ませていると、フランス代表MFリベリが通った。「タカシ!

 オメデト!

 タカシ!」。日本語での祝福に、19歳らしい笑顔を見せていた。

 7月にG大阪から期限付き移籍。8月13日ウォルフスブルク戦で後半24分からリーグ戦デビューしたが、守備の弱さを突かれてピンチを招き、ロスタイムに退けられた。「途中で出て途中で代わってというのが人生で初めて。ああいう悔しさを味わってもこの2カ月腐らずにやった。根性というか。こっから絶対にはい上がって戦力になってやるって思っていた」。常に守備の意識を高めて練習に臨み、「筋トレ終わるたびに筋肉痛になる」ほど体をいじめ抜いていた。

 5月に結婚した蘭夫人(20)と二人三脚で歩む。「こっち来て支えてもらってる奥さんに(ゴールを)贈りたい。(スタンドを)探したんですけど、全然見つからないですね」。壁を乗り越えようとしている若者には、初ゴールもあくまで通過点だ。【鈴木智貴通信員】