女子100メートルでシェリー・アン・フレイザー・プライス(28=ジャマイカ)が10秒93で優勝。この種目で五輪&世界陸上の金メダル4個を獲得している女王の強さを見せつけた。

 フレイザー・プライスは得意のスタートダッシュで先行。後半で2位に上がってきた全米選手権優勝のトリー・ボーウィー(24=米国)も寄せ付けず、0・12秒差で危なげなく逃げ切った。気温が15度と低く、風もアゲインスト(0・2メートル)という悪条件を考えると10秒93のタイムも評価できる。

 フレイザー・プライス自身もそれなりの手応えがあった様子で、「望んでいた数字ではありませんが、今日のレースには満足しています」と話した。

 ウサイン・ボルト(28=ジャマイカ)とは同じ1986年生まれ。196センチと長身のボルトとは対照的に、フレイザー・プライスは152センチと小柄だが、2008年北京五輪、09年ベルリン世界陸上、12年ロンドン五輪、13年モスクワ世界陸上と、歩調を合わせるかのように男女の100メートルで金メダルを獲得してきた。

 不調に陥っていたボルトも7月25日のダイヤモンドリーグ・ロンドン大会100メートル優勝で復調をアピール。ジャマイカの男女のエースは、8月の北京世界陸上で5個目の100メートル金メダルに照準を合わせている。

 寒さのため記録は全般に低調だったが、女子三段跳びではカトリン・イバルゲン(31=コロンビア)が14メートル69で圧勝。ダイヤモンドリーグは今季5戦5勝、2012年11月からの連勝を「28」に伸ばした。

 男子走り高跳びに出場した戸邊直人(23=つくばツインピークス)は2メートル20で9位だった。

 ◆今季の女子100メートル

 フレイザー・プライスが7月4日のダイヤモンドリーグ・パリ大会優勝時にマークした10秒74が今季世界最高。6月のジャマイカ選手権優勝時にも10秒79で走っている。記録的にも、安定度でもナンバーワンで、北京世界陸上でも優勝候補筆頭だ。

 今季の記録では、全米選手権2位のイングリッシュ・ガードナー(23=米国)が10秒79、走り幅跳びと“二刀流”のブレッシング・オカグバレ(26=ナイジェリア)が10秒80、全米選手権優勝のボーウィーが10秒81で続く。ただ、これら上位選手との今季の対戦成績を見ても、フレイザー・プライス優位は動かない。

 日本勢では福島千里(27=北海道ハイテクAC)が好調で、海外で11秒2台を2度マークしている。北京世界陸上では2度目の準決勝進出と、日本人初の11秒1台が期待できる。