男子マラソンのロンドン五輪代表藤原新(34=ミキハウス)が、復活ホームランを狙う。今日28日号砲の東京マラソン(兼リオデジャネイロ五輪代表選考会)を控え、27日に最終調整に臨んだ。1年前に引退が頭をよぎったが、野球に例えながら「当たれば、飛ぶ体になった」と自信たっぷり。昨年8月から北海道、富山、防府読売とマラソン3連勝中。勢いに乗って2大会連続の五輪切符をつかむ。

 都内で約50分のランニングを終えて、不敵に笑った。藤原は「体がきれいに動いている。いい感じです。三振かホームラン。当たれば飛ぶ体ができている。目をつぶって思いきり振ります」。昨年8月の北海道からマラソン3連勝中。同12月の防府読売では、1カ月前の富山からタイムを5分上げて2時間11分50秒。勝ち癖をつけて「5分ずつタイムを上げれば、単純計算で次は2時間6分台」と豪語した。

 昨年大会では、引退寸前だった。1年前の東京は早々と先頭集団から離脱した。21キロ過ぎの銀座付近でふらつきながら「もうオレ、ダメかも。もうやめようかな」。レース中に弱気になって、2時間19分40秒の37位。レース直後には今後を問われて「五輪、リオ五輪まで…」と言葉を絞り出した。「ケジメとして最後のラストスパートみたいな、やめる前にちょっと頑張ってみるか、と思った」。

 1年をかけて、好調時のフォームを取り戻した。疲れが出る25キロ以降もきれいなフォームを維持できれば「本当に楽だし、走っていて楽しい。勝ったも同然という感じ」という。手応えをつかんで、リオ五輪で区切りをつける気持ちも薄くなった。「第三者からみれば『最後じゃないの?』と思うだろうけど。この感じならあと2、3年はやれる。だったら(20年東京五輪を)目指しちゃえば」と、34歳は自信満々。三振か本塁打か、25キロ以降の走りで答えが出る。【益田一弘】

 ◆藤原新(ふじわら・あらた)1981年(昭56)9月12日、長崎県諫早市生まれ。諫早高-拓大を経てJR東日本に入社。10年3月に退社しプロ宣言。12年5月にミキハウスと所属契約。自己記録は2時間7分48秒。12年ロンドン五輪代表。167センチ、54キロ。

 ◆リオへの道 男子マラソンの代表枠は最大3人。福岡国際、東京(28日)びわ湖毎日(3月6日)の3大会から選ぶ。各レースの日本人上位3位以内が対象で日本陸連設定記録2時間6分30秒を満たした1人を優先に、五輪で活躍できる選手を選ぶ。15年12月6日の福岡国際で佐々木、高田、大塚の3人が候補となったが、いずれもタイムは物足りない。複数の選考会に出場した場合は設定記録に到達しない限り最初のレースが評価対象。