<陸上:ダイヤモンドリーグ第3戦ゴールデンガラ>◇5月31日◇ローマ

 男子100メートルは世界記録保持者のウサイン・ボルト(25=ジャマイカ)が今季世界最高の9秒76で優勝した。今回の9秒76という記録はどのような価値があるのだろうか。◆男子100メートルで9秒76以内の記録◆9秒58※(+0.9)

 ボルト

 

 09年8月16日=ベルリン世界陸上9秒69※(±0)

 

 

 ボルト

 

 08年8月16日=北京五輪9秒69

 (+2.0)

 ゲイ

 

 

 09年9月20日=上海9秒71

 (+0.9)

 ゲイ

 

 

 09年8月16日=ベルリン世界陸上9秒72※(+1.7)

 ボルト

 

 08年5月31日=ニューヨークシティ9秒72

 (+0.2)

 パウエル

 08年9月2日=ローザンヌ9秒74※(+1.7)

 パウエル

 07年9月9日=リエティ9秒76

 (+1.8)

 ボルト

 

 08年5月3日=キングストン9秒76

 (+1.3)

 ボルト

 

 11年9月16日=ブリュッセル9秒76

 (-0.1)

 ボルト

 

 12年5月31日=ローマ※はその記録が出た当時、世界新記録となったもの、カッコ内は風速。

 上の表からわかるようにボルト以外で9秒76以内で走っているのは、大阪世界陸上優勝者のタイソン・ゲイ(29=アメリカ)と、前世界記録保持者のアサファ・パウエル(29=ジャマイカ)の2人しかいない。

 回数でいうとゲイとパウエルが2回なのに対し、ボルトは6回と圧倒的に多い。安定した強さという点でもボルトが世界一である。

 今回の9秒76はボルト自身の中で4番目の記録。向かい風のなかで出した記録としては自己最高(世界最高)となる。

 5月の段階で9秒7台を出した例は08年に2回ある。そのシーズンは8月の北京五輪で9秒69と当時の世界新を出した。その2008年5月の9秒7台が2つとも追い風だったのに対し、今回の9秒76は0.1メートルとはいえ向かい風だった。

 五輪や世界陸上で記録が上がるのがボルトの特徴。ローマの9秒76で、ロンドン五輪で世界新が出る確率が高まったといえそうだ。