男子マラソンの川内優輝(24=埼玉県庁)が19日、島根県隠岐島で開催された「隠岐の島ウルトラマラソン」50キロの部のレース中に倒れ病院に運ばれた。軽い熱中症を起こしていたが点滴などの治療で回復。意識もはっきりしており、入院の必要もないという。川内は8月の世界選手権(韓国・大邱)への調整として亡き父の故郷でもある隠岐の島の市民マラソンに一般参加で出場していた。

 10キロ37分のペースでトップを独走していた川内に異変が起きたのは残り1キロ。何度も転倒し、残り600メートルで動けなくなった。大会事務局によると「意識ももうろうとしていたので、大事をとって救急車を呼びました」。この日は晴天ではあったが気温はそれほど高くはなく、風もあったという。午前11時半のスタート時で気温21度、湿度86%、6メートルの風が吹いていた。

 「いつも死ぬ気で走る」がモットーの川内は、過去6回のフルマラソンに完走したものの、5回は医務室に直行している。フルマラソンよりも長い50キロで、力を使い切ってしまったのかもしれない。埼玉・春日部高の定時制で事務職員として働きながら練習する「市民ランナー」は、2月の東京マラソンで日本人トップの3位に入り世界選手権代表の座を手にしていた。