<全国高校バスケット選抜優勝大会:札幌山の手104-40和歌山信愛女短大付>◇23日◇女子1回戦◇東京体育館

 女子1回戦で、20年連続27度目出場の札幌山の手(北海道)が和歌山信愛女短大付(和歌山)を104-40で破り1回戦を突破した。道予選後に斉藤桃子主将(3年)が左足甲を骨折し、今大会はマネジャーに。精神的支柱がコートに立てない中、今大会で主将を務める平野咲子(3年)が経験浅い後輩ガード陣を引っ張り、女王・桜花学園への挑戦権を得た。

 2人の“主将”は64点差の大勝にも浮かれることはなかった。試合終了のブザーが鳴ると、斉藤はスコアシートを確認し、静かに席を立った。自身の代わりにガードに入った後輩に「ミスが多かった」とあえて厳しい評価を下した。平野も「初めは良くなかったが、徐々に自分たちのペースになった」と冷静に振り返った。

 道予選決勝の翌日11月10日の練習で、斉藤をアクシデントが襲った。リバウンド争いでの着地を誤り、左足甲を骨折。全治3週間と診察された。今大会で復帰する一心で手術を受けたが、間に合わなかった。上島正光コーチ(65)が「今年は彼女のチームだった」と話す精神的支柱は、マネジャーとして高校最後の大会を迎えることになった。

 平野が今大会で主将登録されることを告げられたのは、斉藤の骨折が判明してすぐだった。「最後の試合に出られなくてつらい思いをしている(斉藤)主将を心配させないようにしたい」。受験や定期試験が重なり、見舞いには行けなかったが思いは引き継いだ。この日は主にセンターとしてインサイドで体を張り、チーム最多10本のリバウンドを奪い、14点を決めた。

 24日の2回戦は昨年覇者で優勝候補筆頭の桜花学園(愛知)と対戦する。平野には日本代表候補にも選ばれた渡嘉敷来夢(2年)との競り合いが待つが「走るバスケで勝利に結びつけたい」と気後れはない。斉藤は「自分たちのやってきたことをどんどん出して挑戦するだけ」とチーム全員に通じる思いを口にした。たくましい仲間が勝利してくれると信じている。大会前に「主将の分まで頑張るから」とかけてくれた言葉があるから。【北尾洋徳】