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滑る哲学者・町田、全身全霊で初の五輪へ

今季大躍進した町田
今季大躍進した町田

 町田樹(23=関大)が、初の五輪に向けて大舞台に臨む。哲学を好み「目指しているのは、純粋芸術としてのフィギュアスケート。スケート人生のテーマです」と言う23歳が、全日本選手権でソチ切符を目指す。

 今季に入って、躍進した。10月のGPシリーズ開幕戦スケートアメリカ(デトロイト)は合計265・38点で優勝。国際スケート連盟(ISU)公認大会では当時世界歴代5位の高得点だった。続く11月のGPシリーズ最終戦ロシア杯(モスクワ)でも力を発揮。ジャンプが不調でSPは84・90点の2位発進。だがフリーの172・10点で巻き返して、合計257・00点で逆転優勝。シリーズ連勝でGPファイナルに進んだ。

 それでも自分のことを「がけっぷち」と表現する。それは昨季の苦い経験があるからだ。昨季もGPファイナルに進出したが、うれしさのあまり気が緩んだ。結果は最下位の6位。心身のバランスが崩れ、年末の全日本選手権は9位に沈んだ。「本当は『ファイナル決まったけど、どうしよう』、そんな危機感が必要だった」と振り返る。高い授業料を払った経験をしっかり成長につなげる構えだ。

史上最高傑作

初の五輪に向けて意気込む町田
初の五輪に向けて意気込む町田

 SPの「エデンの東」は「町田樹史上最高傑作」と胸を張る。1年以上前に着想を得たが、五輪シーズンに向けて温めてきた。ジェームス・ディーン主演で有名な映画ではなく、スタインベックの原作を読み込んで「小説の舞台のサリナスに吹く風や、雄大な自然をリンクの上に描きたい」と口にする。フリーは昨季と同じ「火の鳥」を選択した。五輪開催国ロシアの作曲家ストラビンスキーが出掛けた曲は、2年かけて完成度を高めてきた演技だ。

 今年4月からは練習拠点をアメリカから大阪に変更した。練習では氷上に正確な図形(Figure)を描くコンパルソリー(規定)を導入。90年に廃止された競技の原点に立ち戻って基礎を磨いたことが、大きな成長につながった。

 ソチ切符がかかった全日本選手権について「死ぬか生きるかの戦いになる。ひとつのミスが命取りになる。今季までに学んだことを集結させてすべてを注ぎたい」。夢の舞台に向けて、全身全霊をかける覚悟だ。【日刊スポーツ・益田一弘】

◆町田樹(まちだ・たつき)
 1990年(平2)3月9日、神奈川県生まれ。3歳から千葉・松戸市のリンクで競技を始める。家族で移住した広島県で育ち、岡山・倉敷翠松高時代の06年に全日本ジュニア選手権で優勝した。関大に進学して、昨年の中国杯でGPシリーズ初優勝。GPは通算3勝。全日本選手権の最高成績は09年と11年の4位。身長162センチ、体重52キロ。
第1回
町田樹
第2回
安藤美姫
第3回
織田信成
第4回
小塚崇彦
第5回
村上佳菜子
第6回
鈴木明子
2005年
過去の激闘史








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