ついにレースがスタート。これまでのトレーニングで鍛えた肉体と体力を信じ、あとはひたすらゴールを目指すのみ…と思いがちだが、ランナーにとってレース中の栄養補給や給水こそが完走するための重要なカギとなる。補給を正しく行うことで、練習以上の力を発揮することも十分可能だ。その反面、間違った補給をすると途中でバテてしまったり、体調を崩すこともある。レース中の正しい栄養補給法、そしてレース後のケアについて、富士山マラソンにも出場経験のある株式会社明治・スポーツ栄養マーケティング部マラソン担当の松崎愛さんに聞いた。

■体脂肪を上手に使ってエネルギー増

 マラソンを走るためのエネルギーとなるのは糖質と体脂肪。42・195キロを走り切るためには、これまで“食べるトレーニング”で体内に蓄えてきた分だけでは足りない。そのため、レース中にエイドステーションを活用したり、栄養源を携帯するなど、足りない分のエネルギーを途中で補給する必要がある。では、どのようなものを補給すると良いのか。

 松崎さんによれば、完走に必要なエネルギーを生み出すには体脂肪を上手に使うことが重要だという。「体脂肪は糖質よりたくさんエネルギーを生み出すことができるため、上手に使って糖質を温存することで、途中でバテずにすみます。体脂肪を上手に使うためのサポートとなるのがアミノ酸です。『VAAM』のように吸収の良いアミノ酸を携帯すると良いですね」。

■栄養補給のタイミングは?

 次に補給のタイミングだが、アミノ酸をとるのはレース前半が良いとのこと。「まずは走る前にとっておくと良いと思います。それから前半とハーフでそれぞれ摂取し、体脂肪をしっかり使いましょう」。エイドステーションや携帯したサプリメントなどで糖質を補給するのはレース後半。「朝ごはんでエネルギーをとっているので、補給するのは後半で良いです。ちょうど疲れてくる20キロ~30キロあたりで。最もバテてくる『35キロの壁』がありますから、その前に糖質をとっておくことで元気になり、集中力もアップします。但し、個人差がありますので量についてはレース中のコンディションに合わせて摂取してください」。