三菱自動車は4日、世界一過酷なモータースポーツといわれるダカール・ラリーに自社のチームで参戦するワークス活動を終了すると発表した。世界的な経済情勢の悪化による販売不振で、低燃費技術や電気自動車の開発に経営資源を集中する必要があると判断した。

 自動車不況は国内のモータースポーツ界を直撃しており、ホンダは自動車レースの最高峰、F1シリーズから撤退。富士重工業とスズキが世界ラリー選手権(WRC)への参戦をやめたのに続き、「パリ・ダカの三菱」も撤退に追い込まれた。

 三菱は1983年に初参戦し、四輪部門で7連覇を含む12度の総合優勝を果たした強豪チーム。同ラリーに主軸を置き、参戦経費として年間数10億円をかけて四輪駆動技術を市販車の開発に生かしてきたが、販売不振を受けて非正規労働者を減らすなどコスト削減を迫られていた。

 益子修社長は同日の決算発表で「『4駆の三菱』の歴史を積み重ねてきたが、大変残念ながら決断した」と語った。

 ダカール・ラリーは79年に初開催。サハラ砂漠などの難所を走破し、「パリ・ダカ」の愛称で人気を集めていたが、アフリカの政情不安で2008年の大会が中止となり、今年1月には初めて南米で開催された。