【グラナダ(スペイン)22日=田口潤】水泳世界選手権は明日24日、ロシア・カザニで開幕する。競泳日本代表の一部は標高2300メートルのスペイン・グラナダで高地合宿を敢行中。日本代表の平井伯昌監督(52)は右肘骨折で欠場する萩野公介(20=東洋大)に「ピンチをチャンスに変えろ」と指令を出した。

 起きたことは仕方ない。来年リオデジャネイロ五輪金メダルへ、今できることをするしかない。

 平井監督 今回は良い機会。泳げない人の気持ち。泳げないとはどんなことなのか。普段からどれだけ周りの人がサポートしているのか。マネジャーの仕事もして、よく考えた方がいい。そして大きな人間になって帰ってきてほしい。

 今季はケガ、体調不良でライバル瀬戸に負けるレースが少なくなかった。平井監督は最大の理由について「心の弱さ」を挙げた。負けたレースでは途中であきらめるなど、がむしゃらさに欠けた面を指摘した。

 平井監督 五輪の金メダルを取るためには、自分に負けちゃいけない。(04年)アテネのとき、北島と負けたらなんて話したことは1度もない。そのくらい強い気持ちを持たないと金メダルは取れない。

 強い心を持つためには、ただ速いだけでなく、裏方などの仕事をして人間としての幅を広げることも大事になる。萩野は先週、患部のギプスも取れ、現在はプールに入れるまで回復。手は使えないが、キックのみの練習を始めたという。

 平井監督 今季は流れが悪かった。今回を機に一からと考えるのは悪いことじゃない。今回は変わるチャンス。

 世界選手権でエースの欠けた穴は大きいが、来年の五輪へ、挫折を糧にすることを信じている。