女子400メートルリレーで、日本が来年リオデジャネイロ五輪の切符を確保した。予選で3分38秒47の9位と決勝進出は逃したが、12位までに与えられる五輪出場枠を獲得した。中学生として14年ぶりに代表に入った東京・小岩第四中3年の池江璃花子(15=ルネサンス亀戸)は第2泳者で、競泳第1号の五輪切符に貢献した。

 15歳が自らの手で五輪出場枠を勝ち取った。女子400メートルリレー予選。アンカーの松本がフィニッシュすると、池江は祈るように掲示板を見た。9位。0秒12差で8位以内の決勝進出は逃したが、12位以内の五輪出場枠は獲得できた。「最低ラインは達成できたので良かった」と安堵(あんど)した表情をみせた。

 初の世界舞台。大観衆に囲まれ、雰囲気にのまれそうになる。レース直前、チームメートで10歳上の松本と山口から肩を抱かれて励まされた。第1泳者で5歳上の内田から引き継ぐと、54秒63の好タイムをマーク。レース後にはおなかを押さえてしゃがみ込んだ。腹痛にも耐えて第2泳者の役目を果たした。

 日本の女子400メートルリレーは12年ロンドン五輪では7位。翌年に100メートル日本記録保持者の上田が引退した。その穴を埋めたのが池江だった。練習から激しく競争し「絶対に負けない」と大声で言うなど貪欲な姿勢をみせた。五輪経験者に中学生が加わってチームは活性化。内田は「ベテランも中堅も“中学生に負けられない”と刺激を受けた」と振り返った。

 池江は生後6カ月で母の指にぶら下がり、2歳で逆上がりをマスター。自宅リビングにある雲梯(うんてい)にぶら下がって腕の力を鍛えた。水泳を始めた3歳からは自宅でイメージトレも敢行。幼児教室の代表を務める母美由紀さんからのサポートも五輪枠獲得につながった。

 今回獲得したのは出場枠で出場権ではない。来年4月の日本選手権で結果を出さない限り、代表にはなれない。「4人で獲得した枠なので、この4人でリオに行けたらいい」。来年五輪に初出場し、5年後の東京でのメダル獲得が目標。ロシアで夢への第1歩をしるした。【田口潤】

 ◆池江璃花子(いけえ・りかこ)2000年(平12)7月14日、東京都生まれ。東京・小岩第四中3年。兄と姉の影響で3歳10カ月から水泳を始める。昨年は4月の日本選手権50メートル自由形4位、8月のジュニアパンパシで4個のメダルを獲得。今年4月の日本選手権でリレー代表に選出された。趣味は読書。夢は五輪の金メダルを獲得すること。足のサイズは25・5センチ。167センチ、54キロ。

 ◆五輪年少出場 日本人の最年少出場は、12歳で36年ガルミッシュパルテンキルヘン大会に出場した女子フィギュアスケートの稲田悦子。競泳では岩崎恭子が14歳0カ月で92年バルセロナ大会に出場し、女子200メートル平泳ぎで金メダルを獲得した。男子では北村久寿雄が14歳10カ月で32年ロサンゼルス大会に出場、1500メートル自由形で金メダル獲得。陸上の土井杏南は16歳11カ月でロンドン大会に出場、400メートルリレーで第1走者を務めた。スノーボードの平野歩夢は15歳2カ月で14年ソチ大会に出場し、ハーフパイプで銀メダル。