いよいよ9月25日から27日まで、F1日本GPが鈴鹿サーキットで開催される。米家峰起通信員がその見どころについて分析した。

(1)メルセデスの牙城を崩すのは誰か?

 今季開幕から全戦でポールポジションを獲得する快進撃を続けてきた王者メルセデスだが、シンガポールGPではフェラーリとレッドブルの後塵(こうじん)を拝するつまずきを見せた。低速サーキットであることと、イタリアGPから強化されたタイヤ内圧などの規制が、王者のパフォーマンスを奪ったとみられている。

 鈴鹿はシンガポールとは異なり車体の空力性能もパワーユニットの性能も求められ、再びメルセデスが強さを見せる可能性も高い。しかしパワーユニットを除く車体性能ではメルセデスに勝るとも劣らないフェラーリやレッドブルが世界屈指のテクニカルサーキットでどれだけの走りを見せるのか楽しみだ。

(2)世界屈指の鈴鹿サーキット

 鈴鹿はドライバーたちが最も好きなサーキットのひとつに挙げ、「神の手で作られたサーキット」と絶賛するほど、今のF1マシンに合った素晴らしいレイアウトをしている。特にセクター1の高速コーナーが連続する区間では、どのマシンも4~5速で右へ左へと向きを変えて車体空力性能をフルに使いマシンの限界を見せてくれる。もちろんドライバーの腕が試される場でもあり、限界ギリギリの走りにも注目したい。

(3)今年も雨の鈴鹿に?

 今週末の鈴鹿は雨の予報となっている。少なくとも金曜と土曜はウエットコンディションとなる可能性が高く、そうれなればいつも以上にドライバーの腕が問われることになる。現地で観戦するファンにとっては楽な環境ではないが、結果がマシン性能に左右されにくいという意味ではウエットコンディションを期待しているドライバーも少なくない。

 昨年は豪雨の中で決勝が行われ、ジュール・ビアンキがクレーン車と激突。その後、帰らぬ人となった痛ましい事故も起きた。難コースの鈴鹿だけに、ウエットコンディションで行われる場合には安全面にも十分に配慮したレース運営を期待したい。

(4)マクラーレン・ホンダの凱旋(がいせん)

 今シーズンF1に復帰したホンダにとっては、これが「第4期F1活動」における初めての地元レース。マクラーレン・ホンダとしても重要な1戦と位置づけており、チーム一丸となってこの鈴鹿に集中している。

 鈴鹿ではコース特性から苦戦が予想されるが、日本のファンのためにもチーム全員が全力で戦う意思を示している。地元の声援を受けてフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンという日本びいきのチャンピオンドライバーたちがどのような走りを見せてくれるのか、楽しみだ。

 新井康久(ホンダF1総責任者)の話

 「鈴鹿はシンガポールとは違って厳しいと思います。世界でもトップクラスのサーキットですし、我々の抱えている課題も浮き彫りになるでしょう。鈴鹿は頑張りますと言ってむやみに期待をあおるはいけないと思うし、技術者として真摯(しんし)にならなきゃいけないと思っています。簡単に勝てるようなコースではありませんからね。日本ということでプレッシャーもありますし。厳しい戦いになると思いますが、精いっぱい戦いたいと思っています」。