ラグビー日本代表のFB五郎丸歩(29=ヤマハ発動機)が27日、国内トップリーグ(TL、11月13日開幕)に向けて本格始動した。静岡県内のグラウンドで行ったチームの練習に、今季初めて合流。これまでは10人に満たなかった見学者が、約120人に膨れ上がった。練習にもかかわらず、五郎丸がキックを蹴るたびに拍手が起きた。

 練習の終盤、五郎丸はポールを背にして芝生に腰を下ろし、目の前で練習するチームメートを少しうれしそうに眺めていた。練習後、「家に帰ってきた感じですね」と、白い歯を見せた。自身も2週間ぶりの練習ながらほぼ全てのメニューをこなし「意外と感触は良かった。キックもランもすべて」と好感触を得た様子。30日の東芝との練習試合も「いけと言われればいつでもいきます」と頼もしく話した。

 全体練習後はキック練習も行い、10本中8本を成功させた。関係者によれば普段は数人しかいないという観客が、「五郎丸ポーズ」見たさにこの日は約120人訪れた。五郎丸が蹴るたび、ゴールの成否にかかわらず拍手喝采で、グラウンドは和やかムードに包まれた。練習後はグラウンドの隅で観客が列をつくり、五郎丸が「握手会」を行う人気ぶり。「これまでない。いつまで続くんですかね…。いいプレッシャーの中でやらせてもらいました」と笑った。

 13日に帰国してからは取材が殺到。現在も、1日約60件の問い合わせがチームに届く。26日には約1時間の会見の間に、広報担当に20件もの電話があった。連日引っ張りだこの五郎丸は「疲れてますよ。義務感しかない」と冗談を言い、「4年間ずっと(試合に)出続けてきた。休むという選択肢もないでしょう」と苦笑いで続けた。

 世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」への移籍話も取り沙汰されるが、「いつも通り、気負うことなくチームのために戦う」と今はTLに集中する。「トップリーグでいいパフォーマンスをして、ラグビー熱が続くようにしたい」と、願い続ける日本ラグビーの発展のために力を注ぐことを誓った。【岡崎悠利】