世界王者の穴を突く! 世界7位の錦織圭(26=日清食品)が今日26日(日本時間同日午後5時15分開始)、男子シングルスで32年の佐藤次郎(故人)以来、84年ぶりの4強をかけ、センターコートで同1位ノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦する。今大会のジョコビッチは、4回戦で勝利を奪うのにフルセットを要するなど不安定。異変を感じさせる状態の王者相手に、短期決戦で勝機を見いだす。

 世界王者の鉄壁の壁をこじ開ける。ジョコビッチは昨年の4大大会すべて決勝進出で3大会優勝。年間82勝6敗の壁は厚いが、それをこじ開けるのが錦織だ。「挑戦者なので思い切ってできる。無理をすることはないが、自分のテニスを貫きたい」と14年全米準決勝の再現を狙っている。

 ともに万全ならば厳しい戦いになるが、今回は違う。ジョコビッチに異変が起きている。4回戦で15位のシモンにフルセットとてこずった。安定しないショットを連発し、100本の凡ミスを犯した。約4時間半の試合で体力も消耗した。世界1位になった11年から出場した4大大会は過去20大会。準々決勝までの合計試合数は80になるが、そのうちフルセットはわずか3試合。錦織が「全くミスがない」と絶賛する強みに影が差している。

 そのスキを突く。それにはボティーニ・コーチ(36)が考える3つのキーポイントがある。まず、不安定な王者に先んじて(1)試合の流れでもラリーでも早めに主導権を握る(Initiative)ことだ。長引くと相手も立て直す機会が増える。同コーチは「チャンスを逃さない。主導権を渡さないこと」と強調。錦織も「なるべく早めに終わらせたい」と、短期決戦に持ち込めば、活路が開ける。疲労が軽減すれば、初の4大大会制覇へ、準決勝以降も有利に働く。

 そのためには(2)集中を持続させる(Focus)ことだ。錦織は、試合中に体力の低下や緊張が続くと突然、集中力が落ちる。しかし、同コーチは「(全米の)14年よりケイは格段にメンタルが進歩した」と、精神的な浮き沈みの心配はない。

 最後に集中すれば(3)凡ミスを減らし安定させる(Consistency)ことが可能だ。今大会の凡ミス総数は錦織が115に対しジョコビッチは178。チャン・コーチも「いつものジョコビッチじゃない」と見抜く。錦織が安定すれば「チャンスはある」と自信を見せる。

 この日は約1時間、世界191位のサビル(オーストラリア)を相手に練習した。練習後には「一緒にビデオを見て、細かい作戦を練る」とボティーニ・コーチ。体調、テニスともに、全く問題はない。再び「ケイ」の名を世界にとどろかせる舞台は、センターコートだ。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定 26日午前8時55分~、午後4時50分~、WOWOWライブ。生中継。放送時間変更の場合あり。