成年女子50メートル自由形で、12年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪代表の内田美希(21=東洋大)が25秒09のタイムを出して優勝した。今季限りの引退を決めていたため、これが水泳人生最後のレース。「何百回もスタート台に立ったが、今日が1番緊張した」と懸命に集中した。

 スタート後は「これだけ全身の筋肉を使うのは最後」と思い切り腕をかく。レース後に声援を受けると「泣くつもりはなかったが、うるっときた」と4歳から始めた水泳の思いがかけめぐった。

 群馬・関東学園大付高3年時にロンドン五輪に出場。翌年からリオデジャネイロ五輪男子400メートル個人メドレー金メダルの萩野公介(22)らとともに東洋大で平井伯昌コーチの指導を受けてきた。「毎日が楽しくて苦しかった」と女子自由形エースとして日本代表を引っ張った。

 昨年から持病の椎間板ヘルニアが悪化。「(東京五輪の)4年後まで気持ちが続かない」と昨年10月に今季限りの引退を決意。水泳人生、最後の1年と気力を振り絞った。リオ五輪予選を兼ねた今年4月の日本選手権100メートル自由形では当時の日本記録を出し、リレー代表として2度目の五輪出場権を獲得した。

 来春からは一般企業に就職する。次の夢を聞かれると「五輪が夢だったから、それ以外のことは、今は難しい。幸せになりたい」と笑みを浮かべた。