日本人初のNBAプレーヤー、栃木の田臥勇太(35)がバスケ人気を波及させる先導役となることを誓った。秋田との開幕戦に先発出場したが、68-83で敗れた。悔しさはあったが、新たな挑戦の場ができたことに感謝した。子どもたちが憧れるBリーグの確立に向け、日本サッカー界最年長の49歳カズ(三浦知良、横浜FC)を超える息の長い活躍を目標に掲げた。

 「タブセ~、ユウタ~」。先発のアナウンスだけで3843人で満員となった会場が揺れた。開始早々、田臥が高速パスを通しただけで、さらに沸いた。10月には36歳。「この年になっても新たなチャレンジができることが有り難い。個人的には、今までの開幕戦より一番ワクワク」。背番号0が、大きな期待を背負ってコートに躍動した。

 第2Q、初シュートはリングに嫌われた。終了間際にほぼ正面から初得点。第4Qには3点シュートも決めたが、全7得点に終わった。チームは優勝候補ながら15点差と完敗し「ホームでの開幕で絶対に勝ちたかった。悔しいですが、あと59試合で初代王者をつかみます」。試合後には主将としてロッカールームで「今日の負けを無駄にするな。いかさなきゃ意味がない」と仲間を鼓舞し、若手にも強い気持ちを持たせた。

 小2で競技を始め、秋田・能代工では史上初の高校9冠を達成。「そのころにプロリーグがあったらうれしいなと思ったことが現実となった」と喜んだ。だが満足はしていない。「(NBA選手となった)米国の経験も生かして、コートの上で表現し続けることが大事。カズ選手みたいに。それもチャレンジ。目標50歳で頑張ります」。

 Bリーグを盛り上げる気持ちは人一倍強い。22日の東京-琉球戦はテレビゲストを務めるなど、開幕前から可能な限り取材に応じてきた。「僕にしかできない役割ですから」。そんな心意気もカズ流。バスケ界の「キング」となる。

 新設1年目のBリーガーに、あえて厳しい言葉も伝えた。「全員がプロ選手になったのだから、1人1人が自覚と責任を持ってやらないといけない」。リオ五輪の出場権を逃した現実もある。「20年東京五輪にもつなげるように、世界に通用するレベルに上げないと。僕も出たい」。使命感に燃えた田臥が、Bリーグを引っ張る。【鎌田直秀】

 ◆主な競技の最年長出場 Bリーグでは、24日に折茂武彦(北海道)が大阪との開幕戦に出場し、46歳4カ月を記録。プロ野球では山本昌(中日)の50歳2カ月。サッカーのJリーグではカズの49歳6カ月。ラグビーのトップリーグは松田努(東芝)の41歳9カ月。