6日に亡くなった日大柔道部総監督で全日本柔道連盟(全柔連)理事の高木長之助(たかき・ちょうのすけ)さん(享年68)の葬儀・告別式が11日、東京・練馬区の江古田斎場で営まれた。

 「先生の弟子になれて本当に幸せでした…。教えをしっかりと引き継いでいきます」。教え子代表として弔辞を読んだ、全柔連強化委員長で日大監督の金野潤氏(49)は言葉を詰まらせながら高木さんへの思いを語った。

 金野氏は、高木さんにスカウトされて30年間師弟関係にあった。現役時代は日大の監督と選手、引退後は総監督と監督という立場だった。

 「いつも叱られてばかりでした。一番叱られたのは、後輩の葉山(充)が総合格闘技に挑戦することになった時、スポーツ新聞で私の名前がセコンドにあった時でした。鬼の形相で『破門だ!!』と怒鳴られました。先生…。言い訳みたいですが、あれは葉山が勝手に…。その後1カ月ほど、日大の道場で出稽古をして、その年に初めて講道館杯で決勝まで進むことが出来ました。『たまには出稽古に行った方が強くなるな』と笑顔で言ってくれましたね。猛烈に怒るけど、何年か1度、ほめてくれた時はうれしかったです」

 全柔連の強化委員長の依頼が来た時は、相談した。「反対されるかと思いましたが、『日本のためにやるべきだ』と言ってくれましたね。20年の東京五輪は絶対に成功させることをお約束します」。最後は真っすぐと遺影を見て、感謝の言葉を述べた。「すぐに怒るけど、面倒見が良くて、コーヒーには山盛りの砂糖を入れて、ゴルフが好きで、ダメなものはダメで。柔道愛が最強で…。教え子を全力で守ってくれました。本当にありがとうございました」。

 高木さんの人柄が分かる弔辞に約400人の参列者も大粒の涙を流した。

 遺影は長女の結婚式の時に撮影した優しい表情をした写真が使われた。親族らが最後のお別れの際、棺には大好きだったお菓子と日大柔道部のTシャツなどを入れた。強い柔道愛から柔道着で荼毘(だび)に付した。戒名は「柔徳長導居士」。柔道と道徳を兼ね備え、導いた人という意味が込められたという。