世界5位の錦織圭(27=日清食品)が、3年連続4度目のベスト8進出を逃した。4大大会歴代最多17度の優勝を誇る同17位のロジャー・フェデラー(スイス)に7-6、4-6、1-6、6-4、3-6の3時間24分で敗れた。全豪での5セット試合の無敗記録は4で途切れた。

 錦織は、目の前で、歓喜するフェデラーの雄たけびを聞き、ふーっとため息をついた。そして、敗者として握手を求めた。3時間24分のフルセット。全豪では無類の強さを発揮してきた5セット試合で、ついに土をつけられた。

 そのショックは計り知れなかった。記者会見では思考力が落ち、質問の意味が頭に入らない。口からは単語が口からこぼれ落ちるだけだった。「物足りない。マリーも負けて(上位に行ける)チャンスがあった」。「もったいないとしか言いようがない。このような負け方は本当に残念」。本気で優勝を狙っている4大大会の第1戦で4回戦敗退。生気を失っていた。

 第1セットの5-2からがすべてだった。2本のサーブアンドボレーを失敗。今季の新兵器となるはずだったネットプレーが足を引っ張った。4ゲームを連取され「あそこをしっかり取っていれば違った。(最後を)締め切れなかったのが痛かった」。タイブレークで第1セットを奪ったが「彼を生き返らせてしまった」と悔やんだ。

 加えて、すんなりとサービスをキープできなかったことが響いた。この日、全体の第1サーブが入る確率は65%。1ポイント目にサーブするジュースサイドからは69%で、2ポイント目のアドバンテージサイドからは62%にとどまった。ポイントがかかる回数がより多いアドバンテージサイドで第1サーブの確率が悪いと、弱点の第2サーブを狙われ、なかなかゲームが取れない悪循環に陥る。「サーブの入りが、そこまで良くなかった。第1サーブをもう少し入れていれば展開は変わった」。その繰り返しで体力も消耗した。

 マリーもジョコビッチも敗れた大波乱の大会で、悲願の4大大会初優勝を狙うためには、この一戦を何とか切り抜けたかった。以前は、フェデラーとの試合は楽しいと話していたが、この日は「プレーしている最中は、楽しいとかそんなのは関係ない」と語気を強めた。その悔しさが、必ず次の糧となる。【吉松忠弘】

 ◆ジュースサイドとアドバンテージサイド ジュースサイドはコートの右側、最初にサーブを打つサイド。錦織は対角線上に位置する向かって左側のコートにサーブを打つ。ジュースになったときのサーブはジュースサイドから打つ。アドバンテージサイドはジュースサイドの反対で、錦織は対角線上に位置する向かって右側のコートにサーブを打つ。

 ◆WOWOW放送予定 23日午前8時55分~、午後4時50分~、WOWOWライブ。男女シングルス4回戦ほか。生中継。放送時間変更の場合あり。