フィギュアスケート男子シングルSP2位の宇野昌磨(19=中京大)がフリーで188・84点、合計281・27点で逆転優勝を果たした。冒頭の4回転ループで転倒も、演技最後のジャンプでとっさに新たな連続技に挑戦。攻めの姿勢で、03年青森大会の本田武史以来日本男子3大会ぶり3度目の金メダルを獲得した。

 宇野がとっさの判断で金メダルを呼びこんだ。最後に予定していた3回転半ジャンプ(トリプルアクセル)-1回転ループ-3回転フリップの3連続技は、最初の3回転半の単発になるミス。その瞬間「迷わずやろうと思った」。

 続く3回転サルコーに、抜けた2つのジャンプを付け、練習でも試合でも成功したことのない3連続技に挑んだ。惜しくも3回転フリップで転倒し、2点減点されたが、単に3回転サルコーを跳ぶより、4・28点の上積みとなった。2位金との差は1・19点。挑戦したことで得たわずかな点で、勝負を決した。フリーでできる連続技は3度。いずれも大きな得点源だが、今季ここまでの7戦で3つともできたのは3戦だけだった。「いつも余らせて終わらせていたので、始まる前に絶対コンビネーションは全部やるぞ」と試合に臨んでいた。「最後まで攻めきって、まとめることができたのが優勝につながった」とすがすがしい笑顔で喜んだ。

 国際B級大会クープ・ド・プランタン(3月10日開幕、ルクセンブルク)を経て、平昌五輪の枠取りがかかる世界選手権(3月29日開幕、ヘルシンキ)に向かう。「跳べるジャンプを挑戦しないなんてことは、どんな状況に置かれてもない」。今季最終戦まで攻めの姿勢を貫く。【高場泉穂】