車椅子障害者組手で加藤咲子(42=大阪・中央支部)が岡村好幸(52=静岡県西・焼津誠空館)を下し優勝した。

 今大会の女子出場者が加藤1人のため、大会本部の計らいで事前に本人に加藤との試合を打診、実現した。本来なら男女混合での試合は行われないが、今回は特例措置での成立となった。加藤は「パワーが全然違う」と体格差の不利を事前対策でカバー。道場生の男性に車椅子に乗ってもらい正面、左右から繰り出される突きを何本も捌いて攻撃してきたのが奏功した。「本当にみんなの協力があっての優勝」とかみしめる。

 空手は小学生から始めたが、25歳で難病の筋ジストロフィーを発症。15年間空手から遠ざかったが「どうしても空手をやりたい」との思いが再燃。4年前に糸東流から車椅子空手の普及に努める日本空手松涛連盟に転籍した。

 日常生活では杖を使用しているが「大好きな空手を始めたことで歩ける距離が伸びた。こうして空手を続けられることがうれしい」と笑う。9月の全日本障がい者空手道競技大会では2連覇がかかる。

 ◆岡村好幸 組手では負けたが、型では5回目の優勝を決めることができた。この2年、加藤さんに負けていたので勝ててうれしい。9月の全日本では両方とも2連覇することが目標。

 ◆坂井創(19=東京・総本部) 岡村さん、加藤さんにはいつも勝てないので悔しい。車椅子の動かし方や技を大きく見せるようにしていつか勝ちたい。