昨季BリーグMVPの比江島慎(28)がBリーグに復帰後、初めて公式戦に出場した。比江島は5日にオーストラリアNBLブリスベン・ブレッツを退団し、Bリーグ栃木ブレックスに移籍。16日のBリーグ東地区首位の千葉ジェッツとのアウェー戦で栃木のユニホームを着て初めてコートに立った。

第1クオーター(Q)途中から出場し、3点シュート1本を含む6得点4アシスト。チームは71-80で敗れ「チームに迷惑をかけてしまった。コミュニケーションのミスで簡単にボールを取られてしまったり、チームが天皇杯で疲れている中で休ませることができなかった。申し訳ない」と言葉少なだった。

チーム練習もほとんどできない中で、Bリーグ復帰戦のコートに立った。「栃木はディフェンスのチーム。ただ声を出せば解決できる場面でそれができずに、相手の展開になってしまった」と悔しさをにじませる。「瞬間、瞬間のディフェンスの仕方は今までと変わりますし、慣れないといけない」。

10~13日に行われた全日本選手権(天皇杯)ファイナルラウンドの最中にオーストラリアから帰国し、準決勝、決勝は観客席からチームの戦いを見届けた。「ディフェンスのローテーションを中心に見ていた。ディフェンスの部分をしっかりやれれば、オフェンスは何とかなるかなと」。千葉に敗れた天皇杯決勝から中2日。安斎監督も「まだまだチーム練習もほとんどゼロ」と言う中でも、比江島が加わったことでオフェンスのシステムも2つほど新しくつくって千葉戦に臨んだ。

千葉戦ではベンチスタートで、約15分間コートに立った。指揮官は「もう少し使う予定だったけれど…。彼の特長を生かせるシステムを作ったりしないといけない。ディフェンスとリバウンドへの意識が足りない。まだまだ彼とやらなければいけないことはたくさんある」と指摘した。

この試合でマッチアップもした、ともに日本代表の富樫勇樹(25)は「試合勘だったりも含めて、彼の性格的にも遠慮するところがあったんだと思う。もともと強い栃木に入ることで、想像するだけで怖いくらい。彼のよさはリーグのみんなが知っているし、脅威でしかない」と試合を振り返った。

比江島が栃木の一員としてめざすところはもちろんリーグ優勝。個人の目標としては「数字としてはないけれど、早くアジャストして、勝負どころでプレーして勝たせるプレーができれば。早く連係を高めて、そういった場面で使ってもらえるようになりたい」。さらなる進化への第1歩を踏み出した。【戸田月菜】