フィギュアスケート女子で、昨季の全日本選手権7位の青木祐奈(21=日本大)が、大学ラストイヤーとなる新シーズンへ挑む。
アクアカップが2日、千葉・アクアリンクちばで最終日を迎え、青木はシニア女子フリーへ出場。108・52点で4位となった。
新フリー曲「She」の静かな音色に合わせ、表情を変化させながら舞った。プログラムのテーマは「私のスケート人生」。演技前半は競技と出会った頃の初々しさを表すが、曲調が変わってからははかなさを漂わせる。
「後半は私もケガをしたり、不調になったりして、思うような結果が出ないことへの葛藤や苦しさを表現しています」
そこから再び転調し、コレオシークエンスとステップを刻むパートへ入るところでは「やっぱり、私はスケートが好きだな」という思いを込めていく。
「見ている人にも伝わったらいいなと思います」
これまでのスケート人生。14年全日本ノービス選手権のノービスAでは、同学年の本田真凜(JAL)や白岩優奈(関大)らをおさえ、頂点に立った。当時から、ルッツ-ループの連続3回転ジャンプは脚光を浴びた。
ただ、その後は結果がふるわないこともあった。19年8月には左足首を骨折し、シーズンの全試合欠場を余儀なくされた。翌シーズンから復帰したものの、21年の全日本選手権ではショートプログラム(SP)で最下位の30位に沈み、フリー進出を逃した。
だからこそ、昨年12月の全日本選手権7位には「今までスケートを続けてきて良かった」とうれしさが込み上げた。
「結果が出て、やる気が出たというか。すごく自信につながって、今シーズンも頑張ろうと思えています」
その全日本では、SPとフリーでセカンドループを披露。ともに回転不足となったが、確かな手応えを感じた。
「みんながセカンドトーループを跳ぶのと同じ感覚で跳んでいるんですけど、それは自分の武器みたいにも感じて。確実に決めていきたいです」
言葉通り、アクアカップでは、4本目でフリップ-ループの連続3回転ジャンプを着氷させた。
自信を胸に臨む今季。一新する予定のSPでは、自身で振付にも挑戦する。完成へ向け、試行錯誤を続けている。
「これまで遊びでやったりはしていたんですけど、試合用となると難しいです。単純に楽しく滑ってるだけじゃなくて、レベルとれるかなとか、いろいろ考えなきゃいけないので」
そう言って、楽しそうに笑う。表情には、充実感がにじんでいた。
大学4年生を迎えた今、スケートを楽しんでいる。
「集大成という形で臨んでいるので、(大学4年という意識は)常に頭に置きながらです。ただ、それを考えちゃうと気持ちも重くなってしまうので、あまり考えすぎずに。楽しんでできたらいいなって思っているので、それは忘れないでいきます」
気負わず、のびのびと。新たなシーズンも、自らのスケート人生を彩っていく。【藤塚大輔】