<ニューヨークシティーマラソン>◇1日◇ニューヨーク市街コース

 加納由理(セカンドウィンドAC)は序盤の転倒が響いて2時間39分5秒の9位に終わった。

 思わぬ不運に見舞われたのは6キロ付近。ほかの選手の転倒に巻き込まれ、地面に体を強く打ち付けた。「気が動転した。気持ちを新たにすることができなかったのが心残り」。2時間24分27秒の自己記録には遠く及ばず、9位という結果に消え入りそうな声だった。

 7位入賞した世界選手権から2カ月余り。短い間隔でレースをこなす外国勢を意識して参戦を決めた。しかし、10月初めに発熱と下痢に苦しみ、直前の米国合宿でも満足いく練習は10日間程度しかできず「何とかレースに持っていった感じ」と打ち明けた。

 そんな逆境の中でどれだけ踏ん張れるかをテーマに臨んだが、転倒で体がこわばり、30キロすぎから痛みを覚えた脚は最後は感覚を失った。「途中でやめようと思ったが、走りきることは必要だと思ったから」。懸命に涙をこらえる姿が痛々しかった。