<ラグビー:パシフィック・ネーションズ杯・日本24-13フィジー>◇最終日◇13日◇フィジー・ラウトカ◇2試合

 時計の針は後半40分を過ぎていた。4点リードの日本はプレーを終えると勝利が決まる場面だったが、ボーナス勝ち点を得られる4つ目のトライを狙った。スクラムから今村が内に切れ込む走りでインゴールに駆け込み、ロスタイムに初優勝を決める劇的トライ。後半24点の猛攻で逆転した“桜のジャージー”に歓喜の瞬間が訪れた。

 攻撃力を欠き、世界の壁にはね返されてきた。だが、この日はサントリー勢を5人並べたバックスが躍動した。連係の取れたライン攻撃から後半に4トライ。菊谷主将は「速いテンポでプラン通りにトライを取れた。日本のスタイルが通じた」と胸を張った。

 劣勢だった前半を8失点でしのいだことも大きかった。攻撃力があっても守備に難のある選手を代表選考から外してきたカーワン・ヘッドコーチは「選手全員が勇気あるプレーをしてくれた。よく我慢した」と褒めた。

 フィジーに退場者が相次いだことにも助けられたが、W杯8強を目指す3カ国を相手に2勝した。指揮官も「日本にとって大きな優勝だ。とても誇らしい」。上昇気流に乗った日本が、ヘッドコーチの故郷ニュージーランドで行われるW杯に向かう。