<ラグビー・九州学生リーグ:福岡大71-3九共大>◇29日◇博多の森陸上競技場◇決勝

 福岡大が九共大をノートライに抑え、大差で6年連続19度目の優勝を決めた。今季初スタメン出場したNO8井上敬浩(4年)が逆転トライを含む4トライを決める活躍を見せ、チームに勢いをつけた。全勝Vの福岡大は全国大学選手権(12月20日から、国立競技場ほか)へ6年連続21度目の出場を決めた。抽選会は来月7日に行われる。

 チームを引っ張るキーマンが見事な復活をとげた。今季初スタメンの福岡大・NO8井上が序盤から大暴れした。前半10分の逆転トライを始まりに、前半は3連続トライ。さらに後半15分には敵陣10メートルライン付近でパスを受けるとそのまま独走して4本目のトライ。後半22分で交代するまで、待ちに待ったフィールドで思う存分楽しんだ。

 U-19日本代表にも選ばれ、1年からレギュラー入りした逸材だが、今季は故障に泣いた。6月の練習中、タックルを受けた際に左腕を脱臼骨折。手術を受け、3カ月間リハビリの日々を送った。ボールを使った練習を始めたのは1カ月前。21日の準決勝で今季初めてリザーブに入り、この日の決勝でようやくスタメンに復帰した。「試合に戻ったとき、ほかの選手とマッチするかが不安だった。今日は思い切ったプレーをしたらみんながサポートしてくれたし、自分で引っ張っていこうと思いました」。さすがにスタミナ不足で後半はバテたが「今季初スタメンだったけど、のびのびとよく頑張ってくれました」と今春から就任した鶴丸誠監督(33)は合格点を与えた。

 高鍋では2年連続花園出場も果たし、関東や関西からも誘いがあったが福岡大へ進んだ。「僕は都会が苦手なんです」と笑ったが、心の奥には「九州のチームで関東、関西の強豪を倒したい」という反骨心がある。全国大学選手権への出場は21度目の福岡大も、いまだ勝利なし。「1年間、全国大学選手権を目標にやってきました」と言う井上が福岡大に新しい歴史を刻む。【前田泰子】