<体操:NHK杯>◇初日◇12日◇東京・国立代々木競技場

 日本体操界初の兄妹世界選手権同時代表に、女子の田中理恵(22=日体大大学院)が王手をかけた。4種目合計55・425点で、2次選考会を兼ねた全日本選手権の持ち点と合わせ111・987点で3位につけた。兄の和仁(25)は2次選考を終わっての14位から8人をごぼう抜きにし6位に急浮上。09年、ミスで逃した兄妹同時代表を、今年こそつかみ取る。13日、男女各6人の代表が決まる。

 理恵の笑顔がはじけた。4種目ともに無難にこなし「とりあえず大きなミスなく終えられた」と喜んだ。最初の跳馬の1本目だけ「緊張した」。しかし、その後はミスを最小限に抑えた演技で乗り越えた。

 09年は初日を終え2位。兄の和仁も2位で兄妹代表は目前だった。しかし、最終日に重圧からミスを連発。6位で代表を逃した。今年は「去年より平常心。ちょっとは成長したと思ってもらいたい」と手応えを感じている。

 09年、世界選手権代表を逃した後は体操を辞め、故郷の和歌山で教員になる道も考えた。しかし、7月にユニバ代表でベオグラードに行き「この雰囲気の中でまたやりたい」ととどまった。個人総合で選ばれる代表は上位4人まで。「昨年と同じ思いはしたくない」。引き締まった表情に変わった。

 3月に左足首の靱帯(じんたい)を痛め、苦しんでいた兄の和仁も、この日、急浮上。得意の平行棒でトップの15・975点をマークするなど、ようやく切れ味が戻ってきた。「全日本の時は着地が痛くてだめだった。ようやく戻ってきた」。妹の理恵は3位につけ、代表圏内だけに「今年は妹が優位で僕ががけっぷち。明日も追い上げる」と、逆転での代表入りに焦点を絞った。