<競泳:ジャパンオープン2011>◇最終日◇22日◇大阪府立門真スポーツセンター

 男子200メートル平泳ぎで、左太もも故障明けの北島康介(28=日本コカ・コーラ)が2分11秒43で優勝した。予選は立石諒(慶大)に次ぐ2位通過だったが、決勝では持ち前の勝負根性を発揮。残り30メートルで立石を逆転し、世界選手権(7月・上海)前の国内最終戦を勝利で飾った。

 勝負根性にスイッチが入った。100メートルの折り返しで、トップの立石から0秒68差。北島の闘志に火がついた。ラスト50メートルで0秒30差まで詰めると、大歓声の中、残り30メートルで首位に立ち、その勢いのままゴールへと飛び込んだ。記録は2分11秒43。水の抵抗を受ける、あごひげを伸ばしての出場。実戦勘を取り戻す意味合いが強いが、それでも競った展開となれば、さすがに一枚上手だった。

 北島

 (最後まで)持たないかなと思った。記録的にはよくないけど、粘りのレースができた。競ったレースは楽しかったです。

 左太ももの肉離れが癒え、今大会に参加した。初日の100メートルは1分1秒27で2位。故障の不安が一掃し「思い切って練習ができる」と表情を輝かせた一方で、「スピードが出ない」と感じた。レースのない大会2日目。恩師の平井伯昌コーチに意見を求めた。そこで沈んでいた体の位置、ストロークとキックのばらつき、硬くなった股関節周りについて助言された。北島が「基本をもう1回、指摘してもらった。そして力を与えて送り出してくれた」と感謝すれば、平井コーチは「大丈夫かな?

 と思ったけど、よく短期間で戻した。感心します」。二人三脚で世界をつかんだ師弟関係が、ここ一番で生きた。

 今後は欧州を転戦する代表チームとは別に、米国に戻って練習に重点を置く。上海で金メダルを取れば、来年のロンドン五輪が内定。自然と期待は高まるが、北島は「まだ強気なことは言えない。現状では厳しい。これから追い込んで、いい状態にします」。もがき苦しんだ分、また北島が強くなった。【佐藤隆志】