競泳男子平泳ぎの立石諒(22=NECグリーン)が「王者の逃げ」でロンドンを制する。2日、東京・国立スポーツ科学センターでインターナショナル合宿が公開。昨年の世界選手権100メートルを勝ったダーレオーエン(ノルウェー)のように、前半から驚異的なタイムで飛ばして粘りきる新スタイルを特訓していることが分かった。五輪出場には4月の日本選手権で、100、200メートルとも北島康介(29=日本コカ・コーラ)らと争って2着に入る必要があるが、その先をにらみ大きなチャレンジに出る。

 五輪で頂点を極めるための作戦だ。立石は「誰よりも速くなりたい。強くなっている実感はあります」と言った。昨年11月のW杯最終戦・東京大会で100、200メートルで2冠達成後、北島が本拠とした米国の南カリフォルニア大に約1カ月間の遠征。帰国した後も大逃げ戦法に取り組んできた。高城コーチは「昨年のダーレオーエンのように自分でレースを作る。周りを自分のイメージにはめるんです」と説明した。

 前半の50メートルを27秒20で入った王者の「突っ込み」。規格外のペースに周囲は混乱させられた。それが見本だ。筋肉に負荷をかけてボロボロになってから耐えるメニューで最後の「粘り」を鍛える。200メートルでは150メートルまでを1分32秒前後の超ハイペースで飛ばし、世界記録となる2分6秒台が目標だ。4年前の代表選考会では3位で北京五輪を逃した。同じ轍(てつ)は踏まない。逃げて逃げて逃げ切る。

 ◆ロンドン五輪への道

 4月2~8日の日本選手権で2位以内に入り、日本水連の定めた五輪派遣標準記録を突破した選手が代表に決まる。100、200メートルのライバルは、五輪3連覇を狙う北島のほか、昨季世界ランク1位(2分8秒25)の冨田尚弥、急成長する高校生の山口観弘ら。