<卓球:世界選手権団体戦>◇6日目◇30日◇ドイツ・ドルトムント

 日本女子が死闘の末に敗れた。前回銅メダルで世界ランク3位の日本は、北京五輪3位の韓国に2-3で逆転負け。6大会ぶりにメダルを逃した。第1試合で福原愛(23=ANA)が苦手カットマンの金■娥に初めて勝ち、石川佳純(19=全農)も続いたが、そこから連敗。最後は石川が2度のマッチポイントを取り切れず逆転負けした。ロンドン五輪前最後の団体戦でメダルを逃し、本番に黄信号がともった。

 球は、卓球台のはるか上を飛んでいった。12-13で迎えた相手のマッチポイント。なにげない返球が、大きく外れた。その瞬間、歓喜に沸く韓国選手の中で、石川は頭を抱えてうなだれた。福原ら日本ベンチは誰ひとり、席を動くこともできなかった。4時間近い死闘の末、日本女子の連続メダルは「5」で途切れた。

 泣きだしそうな石川の背中に、そっと福原が回り、背中に貼っていた背番号のピンを外した。言葉はない。2ゲームを先取してから、まさかの逆転負け。言葉をかけられないほどショックは大きかった。「本当に悔しいです」と石川の目は真っ赤。平野も「私の負けがすべてです」と泣いた。全員が責任を感じていた。

 出だしは最高だった。1番手の福原が、過去12回対戦して1度も勝ったことがない金に、初めて勝った。攻め気を失わず、強烈なフォアの連打。耐えながら打ち抜き、10-9で迎えた初めてのマッチポイントも、相手のリターンを狂わせた。その瞬間、思わず「キャー!!」と叫び、言葉にならない歓喜を表した。勢いは、つかんだはずだった。

 だが、2-0にした後、平野が敗れた。続く福原も「相手の勢いに押されてしまった」とストレート負け。嫌な流れの中、託された石川は初対戦の金とフルゲームにまで持ち込んだ。1度は8-4とリードした。2度マッチポイントも握った。ここで、無理な強打が続いた。あと1本が遠かった。「早く決めたいと焦ってしまった。最後に勝ちきれないのが実力です」。敗北を認めるしかなかった。

 前回大会で競り勝ったとはいえ、韓国は北京五輪で銅メダルを阻まれた宿敵。敗れた意味は小さくない。29年ぶりの決勝進出を掲げながら、メダルにも届かなかった。福原は「カット打ちに対しては自信になったけど、メダルが途切れてしまったことはすごく悔しい。五輪で絶対に借りを返したい」。ロンドンまであと4カ月。時間はない。【今村健人】※■は日へんに景