【秦皇島(中国)11日=阿部健吾】しずちゃんに逆風!?

 この日開幕したアマチュアボクシング女子世界選手権でのロンドン五輪出場条件に、大陸枠が設けられていたことが判明した。日本連盟は8強入りが条件と把握していたが、前日の監督会議で通達されたという。お笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと山崎静代(33=よしもとクリエイティブ・エージェンシー)出場のミドル級のアジア枠は「1」。抽選会で初戦は14日、相手はシャフトーザ・ニザモワ(ウズベキスタン)に決まったが、厳しい条件になった。

 日本選手団が戸惑いの開幕を迎えた。抽選会場を出た樋山監督は「僕らは情報をもらっていなかった。大半の国がビックリしていた。アジアが強いのに大陸で枠が決められたら…。なんでそういう作り方するのかな」と目を丸くした。

 前夜の監督会議で、驚きの情報が伝えられた。今大会で決まるロンドン五輪出場枠は3階級(フライ、ライト、ミドル級)で各「8」。ベスト8入りで決定と日本連盟は確認していた。だが、知らされたのは各階級に設けられた大陸枠。この日、国際アマチュアボクシング連盟(AIBA)に再確認したが、事実だった。関係者によれば現在のAIBAの理事は欧州が大半を占める。英国開催の五輪で、アジアに厳しい条件が設定されたことも考えられるという。

 特に山崎が出場のミドル級のアジア枠は1つだけ。この日の抽選の結果、山崎も含めて40人中11人がアジアからの出場。世界ランク3位の李金子(中国)ら強豪がひしめく中で、最上位に入る必要がある。

 山崎の初戦の相手は24歳のニザモワに決まった。この日の開会式に姿を見せ、「キックボクシング歴は12年よ。ドイツで行われた大会でチャンピオンになったこともあるわ」と説明。昨年ボクシングに転向したようだ。172センチで得意は右ストレートというが、実力は未知数。組み合わせを聞いた山崎も「全然分からないです」と話した。2回戦からの出場とくじ運には恵まれたが、いきなりアジア同士のつぶし合いになる。

 五輪での各階級の出場人数は12人で、今大会後に大陸ごとの推薦枠も用意されているが、上位に食い込まない限り選出の可能性はない。「厳しくなったけど、やることは変わらないです」。

 練習後、樋山監督の「モグラたたきみたいに倒していったらいいんちゃう」という冗談に、取り囲む報道陣に次々とパンチを見舞った山崎。過酷な条件も打ち破らなければならない。

 ◆五輪出場の条件

 各階級(フライ、ライト、ミドル級)の五輪出場人数は各国1人の12人。今大会で決まる出場枠は「8」。大陸枠が設定されており、各大陸の最大枠数が決まっている。アジア枠はフライ、ライト級は「2」、ミドル級は「1」。もし準決勝までにアジア選手が全員敗れた場合は、最後まで勝ち残った選手に負けた選手に優先権がある。残りの4枠に関しては各大陸の推薦枠を適用。大会後にAIBAによって協議され、各大陸ごとに出場選手を決める。アジアからは各階級とも1人が選ばれる。