<テニス:ウィンブルドン選手権>◇4日目◇28日◇ロンドン・オールイングランド・クラブ

 男子シングルスで、世界2位のラファエル・ナダル(スペイン)が2回戦で敗れる大波乱があった。同100位のロソルに22本のサービスエースをたたき込まれ、フルセットで力尽きた。ナダルが2回戦で敗れるのは05年以来。

 最後にエースを打ち込まれると、ナダルは反応できなかった。どんな相手でもパワーでねじ伏せてきた男が打ち負けた。球足の速い芝コートならではの大番狂わせに「ここではこういうことが起きる。負けたのはつらいが、これもスポーツ」と自らを納得させた。

 第4セットを奪い、流れは自分に来ていた。しかしここで日没となり、照明付きの屋根が閉められた。その時間が約45分。その間に流れは断ち切られ、最終セット、ロソルは再び目を覚ました。「10~15分で閉まると思った。45分もかかるなんて…」と首を振った。

 ロソルのハードヒットに防戦一方だった。芝のコートは、球がバウンドして滑るため、ハードヒットは非常に有効。しかし、ネットやアウトするリスクが高い。そのイチかバチかのロソルのショットに「あれだけ打たれたらどうしようもない」とお手上げだった。

 ナダルにとって4大大会最大の番狂わせ。ロンドン五輪にも不安が残るが「こういうこともある。これが人生」と苦笑いした。昨年準優勝で、タイトル奪回を狙ったナダルに、大きな落とし穴が待っていた。【吉松忠弘】